「ライバルより1円でも安く売る」か、「値引き・安売りはしない」か?中小企業の「会社をつぶさない」選択
中小企業は常に上を見るように工夫せよ
私は「メニューから串盛りをなくしたらどうですか?」と伝え、「焼き鳥が食べたいなら、向こうに焼き鳥屋がありますよと紹介しましょう」と提案しました。 すると社長は、「それは困ります。今よりお客様がいなくなっちゃいますよ!」と言います。そこで私は、「お店のコンセプトと乖離しているので、串盛り目当てのお客様は来ないほうがいいですよ」と、データを見せながら意図を説明したのです。 お店のコンセプトや想定している客単価があるのに、わざわざ単価が下がるようなメニューを作っていること自体が問題です。 想定している客単価と客層があるならば、それに見合った価格でメニューを提供しないと、想定している客層も足を運ばなくなります。 串盛りがメニューから消えた後は、客層が大きく変わっていき、当初のコンセプト通りデートや接待として使われることが多くなりました。 このように、安売りしたことで結果的に売上が落ちるというケースも珍しくはないのです。とくに資本力がない中小企業は大企業とは戦い方が違いますから、常に上を見るように工夫していかなければ、道を切り開くのは厳しいと言えるでしょう。
松岡 靖浩(松岡靖浩税理士事務所 代表)