全豪オープン初日に起きた阪神大震災 途方に暮れる沢松奈生子さんが我に返った叔母の一言
どうか殻に閉じ籠もらないでほしい。我慢することが日本人の美徳でもあるけれど「吐き出す」ことはすごく大切です。つらいときは「つらい」と言っていいんです。
《17日には阪神大震災から30年となる》
実家には今も「5時46分」で止まったままの置き時計があります。私の娘は今、高校2年生。両親は「生かされている命」について娘に語ってくれました。命がつながっている以上、この先も生きていく意味や何か自分たちにできることがあるのではないか、と。
私も知り合いを亡くし、多くのものを失いました。でも「自分たちは不幸だった」「つらかったね」と思うだけで終わってしまうのは悔しい。この経験には意味があるはず。そう思い、その意味をずっと探し続けています。(聞き手 安東義隆)
さわまつ・なおこ 昭和48年、兵庫県西宮市生まれ。高校在学中に全日本テニス選手権優勝、大学入学と同時にプロに転向。バルセロナ五輪とアトランタ五輪に出場した。阪神大震災が起きた年の全豪オープンでベスト8進出。自己最高の世界ランキングは14位。