蒔田彩珠、孤独に生きてきた少女役 「シティハンター」を手掛けた佐藤監督が絶賛「最終回の蒔田さんは圧巻です!」
江口洋介、蒔田彩珠、佐藤祐市監督が5日、WOWOW放送センター(辰巳)で行われた「連続ドラマW 誰かがこの町で」完成報告会に登壇。撮影時のエピソードや今年1年を振り返った。 本作は2020年に江戸川乱歩賞を受賞した佐野広実の受賞後第一作目として大きな話題を呼んだ同名小説が原作。とある新興住宅地を舞台に、住民たちの間に渦巻く“同調圧力”と“忖度”が引き起こす恐怖を、生々しく、鮮烈に描 いた社会派ミステリー。佐野の小説が連続ドラマ化されるのは、本作が初。脚本は「連続ドラマW 華麗なる一族」「連続ドラマW 沈まぬ太陽」の前川洋一、監督を「シティハンター」(Netflix)や「ストロベリーナイト」(フジテレビ)などで知られる佐藤祐市氏が手掛けている。 12月8日の放送・配信スタートに先駆けて開催された完成報告会には、本作が4年ぶりの連続ドラマ主演となる江口洋介、共演の蒔田彩珠、そして佐藤祐市監督が登壇。この日の様子は、「WOWOW」LINE公式アカウントでも生配信された。 蒔田は「WOWOWドラマに本格的に参加するのは初めてで、そうそうたるキャストの皆さんと一緒にお芝居するのは緊張しましたが楽しく演じられました」とコメント。 蒔田は幼いころに家族が失踪し、孤独に生きてきた少女・望月麻希役について「頼れる大人がいないなかで『自分の本当の家族を知りたい』という純粋な気持ちだけで真崎さんのもとを訪れる子なので、真崎との距離感はお二人にご相談しつつ演じていきました」と語った。 また、江口と蒔田はNetflix週間グローバルTOP10で1位を獲得した世界的ヒット作「忍びの家 House of Ninjas」(2024年)で、忍び(忍者)の親子として共演して以来の再タッグ。今作では、また違った関係性での共演とあって「今回はなさけないお父さんだったけど、大丈夫だった?」(江口)、「全然大丈夫です!頼りがいがありました」(蒔田)といったやり取りも。 さらに「同じ時間を過ごした仲だったので、台本を読んでいても彼女の表情が浮かんでくるくらいでした」と今回の共演が楽しみだったとも話す江口に、「全く違う関係性だったので、撮影初日に一緒にお芝居をしたときは恥ずかしさがありました。でも、江口さんは引き込んでくれるお芝居をしてくれるので、すっと今回の役に入ることができました」と、江口がいてくれたからこそスムーズに演じられたと笑顔を見せる蒔田。 江口が蒔田のドレス姿を「『忍びの家』のときに比べたら、こんなドレスが似合うようになって!」と感慨深く見つめる姿もあり、佐藤監督からは「忍びの親子同士で褒め合っている(笑)」といったほほえましい声が上がっていた。 今作には鶴田真由、宮川一郎太、でんでん、大塚寧々といった実力派俳優がずらり。座長として俳優陣をまとめるために心がけたことを尋ねられた江口は「あまり主演として、というのは考えていなかったですね。役としての距離感を大事にしていたくらいで、あとは皆さん ベテランの方ばかりなので、やりやすかったです」とコメント。とはいえ、江口らしい空気感が現場を柔らかく包んでいたところもあったようで、蒔田からは「長丁場で疲れてきたな、というシーンでもいろいろ提案してくださるので、すごく助かりました」と、座長としてのたたずまいに感謝の想いが語られた。 また、蒔田が「皆さんセリフが本当に多くて。今回は見ることしかできなかったですが、そういう役が来たときにはこの現場を思い出そうと思いました」と言うほど、セリフ量が多かったという今作。二人の撮影初日も台本4ページにわたる長いシーンの撮影があったそうで「監督もいじわるだよね(笑)。でも、初日にそういうシーンを持ってきて役に入ってもらおうという考えなのかなと」と江口。これには、苦笑いを浮かべる佐藤監督。 その後、同調圧力を描く今作にちなみ「同調圧力に弱いタイプ?」といった質問に蒔田は「自分が正しいと思ったことには同調するし、違うなということには声をあげたいと思います」と語った。 さらに、隠されている闇を暴くという二人の役柄にちなみ「人には言えない隠しごとを教えて」という質問も。これには監督が「ここで隠し事を言うんですか(笑)」と声をあげると、「そんなの言えるわけないじゃないですか。隠し事は誰にでもあるでしょう。公の場では言えません(笑)」と同調する江口に続き、蒔田も「じゃあ、私も言えません!」と、重ねて同調。まさかここで同調圧力!?といった場面もあったが、「僕がバラしましょう」と佐藤監督が撮影現場で見た二人の知られざる素顔を発表することに。 「江口さんはものすごく繊細。朝の表情で何を考えているか探っていました」と言う監督には、「いやいや、繊細にしないとこの役はできませんから!」と今作だからこその雰囲気だったと返す江口。だが、蒔田も「繊細」だと続ける監督には、江口も「分かる。繊細だよね」と同意の声。「緊張していたと思うけど、最終回の蒔田さんは圧巻です!」(佐藤監督)「凛としていましたよね。それぞれけじめをつけていく最終回ですから」(江口さん)といったやり取りも。 さらに、今年も残りわずかということで、それぞぞれ「どんな1年だったか」を振り返る場面も。今年は挑戦の年だったという蒔田は「変化の多い1年だったので、来年はまたさらにステップアップできる1年でありたいなと思っています」と語った。