実写版『幽☆遊☆白書』不安から一転の“逆転ホームラン”に 作品を支える迫力の戦闘シーン
アクション監督・大内貴仁によるド迫力の戦闘シーン
そして何より本作を支えているのが、『HiGH&LOW』シリーズ(2015年~)で、その腕前を世界中に知らしめたと言っても過言ではない大内貴仁アクション監督が手掛けた、ド迫力の戦闘シーンだ。本作はドラマとしては信じられないほど戦闘シーンに尺が割かれており、「ほとんどずっと戦っている」と言ってもいいだろう。「すげぇアクションをずっとやっている!」というシンプルな魅力がここにはある。VFXのクオリティも高く(とはいえ100%戸愚呂はあまりにも綾野剛だったが)、恐らく原作を知らない人にとってもファンタジーアクションものとして楽しめるはずだ。 俳優陣も止まっているポスターだと心配になるビジュアルだったが、動いてみるとこれが全然“あり”である。主人公の浦飯幽助と桑原和真は完璧だ。特に桑原は原作以上に幽助のダチ兼ライバルとして、美味しいポジションを手にしているし、上杉柊平のコミカルと熱血を上手く交えた演技も素晴らしい。そして誰が演じても物言いがつく蔵馬と、そんなBOØWYほどに髪を立てずとも……と思える飛影、この2人も目が慣れてくるとOKである。特に薔薇の鞭を振り回し、さらにはあの役までも堂々と演じた志尊淳は、その覚悟だけでも敢闘賞をあげたい。そして戸愚呂チームは全員完璧だったことも付け足しておこう。 本作は当初の不安から一転、逆転のホームランを決めたと言っていいだろう。続きがあるなら期待したいし、このクオリティで様々な実写版を観てみたいと思えた。原作を解体し、原作の持つ魅力を切り口に、「これはこれで」の作品へと再構成する。ネガティブなイメージのつきまとう「漫画の実写化」というフレーズだが、そのメチャクチャ苦しい壁だって不意になぜかブチ壊す勇気とPOWER湧いてくるような快作だ。お正月にイッキ見推奨である。
加藤よしき