「トコジラミは生殖器をメスに突き刺す。ときにはオスに刺すことも」SNS賑わせるトコジラミ情報 真偽を専門家に聞いて驚いた
世界各地で社会問題となっているトコジラミ。「谷町線にトコジラミ」など、SNSには真偽不明な情報も含め、トコジラミに関する様々な情報が行き交っています。短文投稿サイト「X(エックス)」で、数百万のインプレッションを稼いでいる2つのポストについて調べました。 【画像を見る】墨汁状のシミに注意!それは『トコジラミ』の糞かもしれない
「交尾の時、オスがメスに生殖器を突き刺す」
まずは投稿【トコジラミの性生活】。「交尾の時、オスがメスの腹部に生殖器を突き刺す」という書き込みや、ときには「メスの頭に突き刺すこともあり、それでも受精する」という驚愕の情報があふれていて、爆発的なインプレッションとなっているものもあります。 これらの情報の真偽について、トコジラミの生態を研究する「兵庫県立人と自然の博物館」の山田量崇さんに話を聞きました。山田さんによりますと、トコジラミはあらゆる生物の中でも珍しい「外傷性受精」と呼ばれる交尾を行うというのです。 (山田量崇さん)「外傷性受精とは、交尾口からではなく、メスの体表に穴を開けて精子を体内に直接注入する様式の一種です。トコジラミの場合は、メスの腹部にオスの生殖器を突き刺して交尾を行います」 非常に特殊な交尾であることは事実であると確認できたうえで、ネット上でささやかれる噂や書き込みについて直撃しました。
■「メスの頭に生殖器を突き刺すこともある」真偽は?
「メスの頭に生殖器を突き刺すこともある」これは本当ですか? (山田量崇さん)トコジラミに関しては頭に突き刺すことはありません。オスはメスの背中に乗り、腹部(人間でいうおへそ辺り)に生殖器を突き刺します。メスの腹部はそれを受け入れられるようになっており、突き刺した後はカサブタのような跡が残ります。トコジラミと同じように外傷性受精を行う「ネジレバネ」という昆虫がいますが、ネジレバネは生殖器をメスの首に刺すことが知られています。
■「相手がオスであっても交尾しようとする」真偽は?
「相手がオスであっても交尾しようとする」これは本当ですか? (山田量崇さん)これは事実です。昆虫の中には求愛行動を経て、ある意味合意の上で交尾を行う種もいますが、トコジラミのオスは、誰彼構わず無理矢理交尾を行おうとします。なので、それがオス相手の場合もありますし、あまり例は無いですが、似たような別種の虫であることもあります。