【ラグビー】オーストラリア時代から親日家。拓大のイジー・ソードは期待の大型PR!
母国のオーストラリアで日本の漫画にはまった。世界的に流行っている『ONE PIECE』が好きだ。 「ずっと日本でプレーしたい!」 こう語るのはイジー・ソード。拓大ラグビー部の4年生だ。 地元のブリスベンでは、スーパーラグビーに参戦するクイーンズランド・レッズのU16、U18のチームへ選ばれていた。現役オーストラリア代表のタニエラ・トゥポウら、トップチームにいた選手たちにも間近で触れた。 来日したのは2020年。その前年、ワールドカップ日本大会で日本代表が8強入りしたのに惹かれた。エージェントに提案されて入った拓大に通ううち、みるみる日本語を覚えた。 最初に受けたカルチャーショックは「挨拶」とのことだ。 「びっくりした。いつもちゃんと、教授に、先輩に『おはようございます! おはようございます!』って」 ポジションは右PRだ。スクラムの最前列で両肩から相手の圧を受ける、いわば忍耐のポジションだ。 来日当初はBKのCTBやWTBとしてプレーも、3年時に転向した。現在の身長190センチ、体重118キロというサイズを活かすためだ。 「1年生の時はWTBとCTB。2年生でCTB。(FWの)LOでやるには身長が…(世界トップクラスでは2メートル超が多い)。で、去年からPRです」 試行錯誤の最中だ。加盟する関東大学リーグ戦にあって、今季から最上位の1部に昇格していた。 「去年の2部は皆、きれいに真っすぐ組んでくるんだけど、1部のスクラムは…」 中心軸の外側から圧をかけてきたり、最初のつかみ合いでフライングすれすれのタイミングで圧をかけてきたりと、向こうが繰り出す技巧にいなされる。 特に10月28日の立正大戦では、体調が悪かったのもあり「自分の一番のポテンシャルを出せてないです」。満足できるスクラムが組めず、17ー50と今季初勝利を逃した(埼玉・セナリオハウスフィールド三郷)。 それでも遠藤隆夫監督は、チームの副将でもあるソードの将来性を買う。 「(PRになって)2年目にしては凄いんじゃないですか。うまく身体を使えています。磨けばもっと上に行くと思います。期待しているんですけどね。化けないかな、と」 拓大の右PRと言えば、2016年度卒の具智元が印象的だ。日本代表として日本大会から2度続けてワールドカップに出て、列強国と組み合っている。 遠藤は、学生時代の具と比較しながらソードのスクラムワークを褒める。常に背筋を伸ばして組めるのがよいという。 「(正しい)姿勢を取ろうとしなくても、取れちゃうんですよ。いい具合に身体が固いため、あまり(背筋が)丸まったりしない」 現役時代にPR一筋だった遠藤によると、具は「技術的に、膝の高さにこだわっていた」とのこと。背筋を伸ばした最適な姿勢を保つべく、相手との距離感などを踏まえて適宜、膝の角度を微修正していたようだ。 かたやソードは、「そういうこと(技術的な工夫)をしなくても組める」。素材としての凄みが伝わる。 「具とは違う組み方。周りが強ければもっと強くなる」 キャラクターについては、「いい人過ぎるくらいにいい人。言われたことをやろうとする。素直です」と指揮官。来春から国内リーグワンに挑むソードはいま、リーグ戦1部残留を使命にベストな「姿勢」を作る。 (文:向 風見也)