<インドその5~成功者の思考 > フォト・ジャーナル 高橋邦典
ムンバイの南東およそ70キロにあるテーマパーク「アドラブス・イマジカ」の一角。夜の帳(とばり)が下りると、眩いばかりに照らされたインド風の宮殿が浮かび上がった。ボリウッド映画や神話を盛り込んだパークの総工費はおよそ290億円。 この巨大エンターテーメント施設をつくったのが、映画製作会社のオーナーだったマンモハン・シェティ。以前からインドの娯楽施設の少なさを痛感していた彼は、映画製作会社を売却したあと、テーマパークづくりに取り組み始める。いまから10年ほど前のことだ。しかし、ディズニーの幹部が語ったこんな言葉に水を差された。 「インドに参入する予定はない。今も、そして近い将来も」 インド国民の所得水準では、採算があわないとの判断だった。しかし、マンモハンは逆の見方をした。ミドルクラスは増加し、所得はこれから伸びていく。なんといっても12億の人口は巨大なマーケットとしてのポテンシャルがある。 現在イマジカをはじめとしたインドのテーマパークは急成長をとげ、2020年までにその総利益は2倍以上になると予想されている。 「コップの水は、まだ半分もある」 ディズニー幹部の言葉を聞いたとき、マンモハンはこう考えたという。成功者というのは、いつも物事をポジティブに解釈するものだ。(2013年4月撮影) Copyright (C) Kuni Takahashi. All Rights Reserved.