歴代当主の書画や和歌 旧小津家企画展 江戸~明治、高い教養紹介 三重・松阪
三重県松阪市本町の旧小津清左衛門家(松本吉弘館長)は現在、企画展「商家小津家の文芸活動」を開催している。同家の文芸活動に焦点を当て、江戸から明治時代にかけての小津家歴代当主の書画や和歌を中心に松阪商人の高い教養とつながりなどを紹介している。2月9日まで。 小津清左衛門家は1653(承応2)年、江戸の大伝馬町一丁目に小津屋紙店を創業して以来、伊勢屋木綿店、大橋屋紙店を相次いで開業するなど、松阪の江戸店(だな)持ち商人の中でも屈指の存在だった。一方で、小津家当主は商売の傍ら、書画や和歌、茶の湯などの文芸活動に余暇を捧げた。 今回は16種20点を展示した。注目は、木綿商・長谷川家の旧蔵品で、江戸時代の文人画(南画=なんが)に影響を与えた清の画人・伊孚九(いふきゅう)作「離合山水図(複製)」と、小津家9代当主・長澄(1785~1856年)の「離合山水図」。長谷川家の山水図を長澄が模写したもので、元の山水図は三幅を併せて一つの景色となりながらも、各幅を個々に見ても一つの景色となる。長澄も三幅模写した。今回は公開期間をずらしてそれぞれ一幅ずつ展示している。 「和歌詠草」は1723(享保8)年の元旦に小津家5代当主・長康(1681~1741年)の和歌。「年つみし 高根のみ雪 とけぬらし けふは霞(かすみ)に かはるとそ見る」と詠んでいる。 明治期の茶杓(ちゃしゃく)は、松阪に住んだ江戸店持ち木綿商・長井同玄斎(1832~94年)の作で、小津家12代当主・長篤(1818~98年)に贈られたもの。 扇野耕多学芸員(27)は「高い教養を持つ松阪商人の一面を知っていただく機会となれば幸いです。離合山水図については見比べるなどして楽しんでほしい」と話している。 開館は午前9~午後5時(入館は同4時半まで)。水曜と、年末年始(12月30~1月2日)休館。入館料は一般200円、小中高生は100円。
1月11日にミニ講座 同日に展示解説も
1月11日午前10時からは企画展に関連したミニ講座を同家で開く。定員15人で予約不要だが先着順。また、同日午前11時からは20分程度の展示解説を行う。いずれも入館料のみ必要。