生活サービスを集中 度会町が実証実験 移動困難な高齢者支援 公共施設を拠点に 三重
【度会郡】移動が困難な高齢者の健康や生活を支援するため、三重県度会町は本年度、中山間地近くの公共施設などを地域拠点とし、オンライン健康相談を中心に、住民の生活に必要なサービスを1カ所に集めて、町中心部に出かける負担の軽減を目指した実証実験に取り組んでいる。 町は昨年度、オンライン診療をするマルチタスク車両を活用し、地域医療の課題解決を図る「医療MaaS(マース)」などの実証実験をした。本年度は、地域サービスや住民の健康寿命を延ばす取り組みをさらに充実させるため、地元の慣れ親しんだ施設を使い、住民らが利用しやすい環境をつくることにした。 実証実験は11、12月に町内の4地区で実施。同町平生の平生構造改善センターでは、地元住民ら約20人が参加した。 始めに看護師が血圧や酸素濃度、体温などを測定。希望者はオンライン健康相談を無料で受けることができる。看護師が問診票をタブレット端末で撮影して担当の医師に送信。オンラインで福井県の医師につながると、住民らはモニター越しに自分の気になっている症状や生活習慣について相談し、医師からアドバイスを受けた。
オンライン健康相談や福祉ネイル、移動販売車
会場では、地域おこし協力隊が飲み物やお菓子を提供するカフェ、爪の手入れが体験できる福祉ネイル、わたらい音頭に合わせて体を動かす「まめ体操」、健康マージャン、移動販売車による食品・日用品販売が行われ、住民らはさまざまなサービスを楽しんでいた。 今後は参加した住民へのアンケートを基に改善点を洗い出し、サービス拠点を増やすことも視野に入れ、医療や地域の課題解決に向けて取り組みを進める。 同町平生の植村和代さん(74)は「オンライン健康相談は初めてで緊張した。度会町は過疎化が進んでいるし、車に乗れなくなったらこういうサービスがあった方がいいと思う」と話した。 町みらい安心課の安田恭輔さんは「高齢者の方々が求めるサービスをさらに見極めながら、生活圏内で健康で健やかに暮らせる環境を提供できるよう、この取り組みをより良くしていきたい」と話していた。