特別支援学級の先生語る「子と親の対応」の苦悩 。プライベートでも発達障がいの子供と向き合う教師
さらに業務過多はそうした物理的な要因には限らず、特別支援学級だからこそ増えている要因もあるそうです。 学校にもよりますが、山田先生の学校ではそれぞれの子どもに応じた支援計画を考えて、書類を作らないといけません。学期の初めと終わりに1回、全員分の特性を詳しく把握して作成する必要があります。 計画を立てるのも大変ですが、生徒の対応にも大変さがあると山田先生は語ります。 「特別支援学級に在籍しながら、一部の教科やホームルームで通常学級に参加する『交流学級』の仕組みを使っている生徒もいます。私が担任を持つクラスでも、そういう生徒がいるのですが、通常学級の担任との情報交換や、共有・連絡・調整がとても大変なのです。
また特別支援学級の子どもが、通常学級に参加した場合には、児童間のトラブルも多発します。たとえば、情緒的に障がいがある子だと、手や暴言が出てしまうんです。『言ったらあかん』と言っても我慢できず、『くそ』とか『ばばあ』とか言ってしまうこともあるのです」 ■保護者の対応でも苦慮する そして、生徒間の問題は、保護者間の対応に発展することもしばしばあります。 「保護者の方の理解を得るのがとても大変です。たとえば、親御さんの中には、特別支援学級の子と同じ授業を受けることに対して『同じ教室で勉強しないとダメなんですか』『うちの子どもに近づけないでください』と言う方もいますし、乱暴な子がたんぽぽ学級にいると知った親御さんの中には、自分の子を心配して『(通常学級に)立ち入り禁止にできないんですか』と悪意なく言うこともあります。
そうした問題を起こす子どもを持つ親御さんは、ただでさえ子どもの将来に悩んでいるのに、毎回『⚫︎⚫︎君がまた相手を叩いたんです。相手の親も怒っています』と言われると、先生にも、相手の保護者にも電話で謝らないといけないので、負の連鎖が起こっているわけです。 つらいですよね。『学校に行かなければ問題は起きないから』と考えてしばらく子どもを学校に行かせないという選択を取ってしまう親御さんも珍しくありません。だからこそ、親御さんの間の発達障がいへの理解も必要になってきています」