石川遼、過去10度出場で5度予選落ちの苦手コースで…あと5センチ届いていれば優勝も「紙一重」
◆男子プロゴルフツアー メジャー初戦 BMW日本ツアー選手権森ビル杯 最終日(9日、茨城・宍戸ヒルズCC西C=7430ヤード、パー71) 首位と5打差の16位から出た石川遼(32)=カシオ=が2季ぶりとなる優勝をあと一歩で逃した。1イーグル、8バーディー、2ボギーの63と猛チャージでトップに並び、迎えた岩田寛(43)=フリー=とのプレーオフ(PO)ではショットのミスが続いて敗れた。それでも、過去10度の出場で5度予選落ちと鬼門だった大会で自己最高の結果を残した。次戦のメジャー、全米オープン(13日開幕)に弾みをつけた。 石川が今大会一番の千両役者になった。最終日に大歓声を最もとどろかせた正規の18番パー4(467ヤード)。150ヤード超を残した左バンカーからの第2打はピン右手前に落ち、するすると走るとラインに乗りカップへ近づいた。縁をなめるかのように右を通り抜けた。あと5センチ。入ればショットインイーグル、14アンダーで優勝していたかもというショットだった。 逃した優勝を「紙一重の差だった」と振り返ったが、勢いはあった。13アンダーで並んだ岩田にプレッシャーをかける形でPO勝負となった。しかし、ティーショットは右のラフへ。第2打ではピッチングウェッジを握り「フロントエッジにキャリーさせるしかない」と短めの番手を選択して攻めの姿勢を貫いたが、ボールはグリーン右手前のラフへ。アプローチも大きくショートし、パーパットを決めきれず敗れた。 過去10度出場し、最高は15位(2010年)という鬼門の大会。開幕前は「大得意です」と自分にハッパをかけるほど苦手なコースだった。今年は例年以上にラフが短く、新たなドライバーのシャフトも味方に、最終日はこの大会で自己ベスト「63」のビッグスコアをたたき出した。「今日は本当に良かったと思う。焦ることなくプレーできていましたし、POもかみ合っていればと、自分の気持ち的にも焦りはなかったが紙一重だった」と怒とうの一日を振り返った。 次週は2年連続8度目の挑戦となる全米オープン。「結果以上にというか、収穫がすごくあった一週間」と弾みをつけた。「こういうコースでも優勝争いできることは、自分に対しても証明できたし楽しみ。自分の基準にブレることのないゴルフをしたい」。つかんだ感触を大舞台にぶつける。(富張 萌黄)
報知新聞社