交通事故死した野生動物はどう処理される? そのまま燃やせる「ロードキル回収袋」が画期的な理由。
人間の生活圏に出没するようになった野生動物たち。道路上での死亡事故「ロードキル」の増加は深刻なものだ。同時に、道路管理者にとっては、増え続ける死体の処理も大きな問題となっている。ここで、西日本高速道路メンテナンス関西は大嘉産業と共に、現場の要望に応え、野生動物の死体処理に適した「ロードキル回収袋」を開発した。 【写真で見る】野生動物の処理は過酷すぎる…。現場の声をもとにした「ロードキル回収袋」がこれだ!
道路管理者を悩ませる「ロードキル」の死体回収
NEXCO東日本・中日本・西日本、首都高、本四高速におけるロードキル死体処理件数は、年間5万件(2021年)に及んでおり、特にNEXCO西日本では年間2万800件と、NEXCO3社の中で最も多い件数となっている。 実際、NEXCO西日本の関西地区の高速道路をメンテナンスしている西日本高速道路メンテナンス関西でも、増え続けるロードキルの死体処理に頭を悩ませていた。ブルーシートやダンボールに死体をくるんでいたというが、現場からは「動物の血液がつく」「動物のにおいがつく」「体液が漏れる」「虫(ダニ)がつく」といった声があがり、野生動物の死体処理に適した袋を開発することになった。
実験を繰り返し製品化されたロードキル回収袋
「ロードキル回収袋」は野生動物の死体を回収して、処理施設まで運搬し、そのまま焼却できる袋だ。 ■ロードキル回収袋の特長 ①収容しやすい3辺ファスナー ②運搬しやすい取っ手付き ③丈夫な高強度ポリエチレン製 ④体の体液や臭いが漏れにくい非透水性 ⑤内容物を確認できる確認窓付き ⑥金属不使用でそのまま焼却処分できる なお、当初は確認窓を設けていなかったが、死体の焼却処理施設の要望に応え、その場で虫を飛散させず、内容物を確認できるよう取り付けたものだという。 ■ロードキル回収袋のサイズ 野生動物の死体の大きさに合わせた4サイズとなっている。製品の規格に対して、収容する野生動物の種類は限定していないものの、大~中はニホンジカ、イノシシ、小~ミニはアライグマ、タヌキなどを想定。ニホンジカより大型のエゾシカは角がなければ収納できる。また、ツキノワグマより大型のヒグマは大サイズでも収納できないかもしれないとのことだ。