「サントス ドゥ カルティエ」は永遠の“イットボーイ・ウォッチ”だ!──Watches and Wonders Geneva 2024
「タンク」や「ベニュワール」は一休み? カルティエが「Watches and Wonders Geneva 2024」で発表したのは、腕時計の古典「サントス」の新作だった。 【写真17枚】「サントス ドゥ カルティエ」「サントス デュモン」新作をチェック! 「この2年間、私は『サントス ドゥ カルティエ』のことを“イットボーイ・ウォッチ”(注:It Boy = 魅力的で注目を集めている男性のこと)と呼んできました。最近、私の周りで多くの男性が『サントス』を手に入れてきたからです」。腕時計メディア「Dimepiece」の創業者、ブリン・ウォルナーは「Watches and Wonders Geneva 2024(ウォッチズ & ワンダーズ・ジュネーブ 2024)」を前に私にそう語っていた。「もちろんユニセックスの時計ではありますが、史上初の男性用腕時計であることもあって、男性が特に『サントス』に惹かれるのにも納得がいきます。より流麗で均整のとれたヴィンテージのモデルであっても、他のカルティエのモデル、例えばブレスレットのような『パンテール』や、名前とは裏腹に可憐さを感じさせる『タンク』よりも、明らかに伝統的なマスキュリニティを感じさせる時計です」 「マスキュリンな雰囲気が、確かに『サントス』にはあります」と話すのは、カルティエのイメージ スタイル & ヘリテージ ディレクターを務めるピエール・レネロだ。「その起源まで遡ると、『サントス』が主に男性に人気のあった数少ない時計の一つであったことがわかります。例えば『タンク』は、男性と女性の双方に等しくアピールしていましたからね。男性に特定のモデルを、女性にはまた別の特定のモデルを着けてもらおうという発想などありませんでしたから、『サントス』に特にマスキュリンな魅力が宿っているのだとすれば、それはあのシェイプにあるのではないかとただ推測するしかありません」 ■「サントス ドゥ カルティエ」に新作登場 「サントス ドゥ カルティエ」といえば、むき出しの金具や、スティールあるいは貴金属のブレスレット、そしてがっしりとしたスクエアな文字盤が特徴だ。また、この時計はマイケル・ウォードやトム・ヒドルストン、トム・クルーズ、ジェイク・ギレンホールらの俳優たちによって愛用されてきたことでも知られている。彼らのしっかりとした体つきにも見栄えよく、同時にセクシーさだってもたらしてくれるからだ。2024年の最新作を一目見れば、彼ら“イットボーイ”たちもたちまち興奮して目を回してしまうことだろう。 最新の「サントス ドゥ カルティエ」“デュアルタイム”は、話題性抜群の逸品だ。ステンレススティールのケースにグレーの文字盤を備え、2つのタイムゾーンを表示する。歴史を振り返ると、「サントス」というモデル名はアルベルト・サントス=デュモンにちなんで名づけられたものだ。「自由奔放な先駆者」と形容された彼は、1904年に飛行士用の腕時計を着けて飛行した最初の人物となった。 「このモデルを魅力的にしているのは、あくまでデザインと品質であると私は考えたいですね。歴史的な文脈は、その魅力に輪を掛けているに過ぎないのです」。新たな“デュアルタイム”について、レネロはそう語った。標準的なGMTに比べても、この新作は2つのタイムゾーンを往復するためのさらにスマートなオプションと言える。セカンドタイムゾーンを表示するカウンターが6時の位置に配され、渡航先など把握しておきたい2つめの時間帯をエレガントに教えてくれる。サイドに備わった七角形のチャンキーなクラウンも、これ以上ないほどマスキュリンな魅力を漂わせている。 「社会的な慣習に基づいて腕時計をジェンダーで区分するのは気が引けますが、これらの新作はより男性的な方向への揺り戻しを意識したものに感じられます」と、ウォルナーは言う。「昨年私たちの心を鷲掴みにした、ウルトラフェミニンで遊び心のあるバングルスタイルの『ベニュワール』に相対するのがこれらです。あのときは、男性たちも『ベニュワール』の昔のモデルをこぞって買い求めましたね」 レネロもその見立てを否定しない。ただし彼は、自身がカルティエに入社したばかりの80年代半ば、同ブランドが小ぶりの「サントス ドゥ カルティエ」を作っていたことをこう振り返る。「それらは強い男らしさの表れとして、男性たちに求められていました」。まるで、男性たちが小さい時計を好んで着けるようになる現在のトレンドを先取りしていたかのようだが、レネロはこうも言う。「しかし、それが可能だったのも『サントス』だったからこそかもしれません」 カルティエは今年、3種類の「サントス ドゥ カルティエ」を新たに発表した。一つはイエローゴールドとスティールのツートーンに、やや淡いアンスラサイトグレーのサテン仕上げサンレイダイヤルを備えたもの。それに加えて登場したのが、2種類のブラウンダイヤルのモデルだ。一つは大きめの寸法(縦47.5×横39.8mm)で、6時の位置に日付表示窓を備えている。もう一つは縦41.9×横35.1mmとやや小ぶりで、手首周りをよりすっきりさせたい向きにお勧めだ。個人的な趣味ではあるが、「サントス」の魅力は何と言ってもローマ数字のインデックスにある。このデザインは非常にユニークではないだろうか? ■エレガンスを伝える新色「サントス デュモン」 「サントス デュモン」についても、落ち着いたトーンではあるがカラフルには違いない4種類の新作が今年6月にリリースされる。そのなかの一つは、プラチナケースに赤みがかったブラウンのカーネリアン製ダイヤル、クラウンにはルビーのカボションと、一見標準的な「サントス デュモン」に見えるが、よく見ると文字盤が左右反転している。2時の位置に10時、4時の位置に8時といった具合だ。手巻きのメカニカルムーブメントが通常とは逆に回転するこのモデルは“リワインド”と呼ばれ、200本の限定アイテムとなっている。 ほかの3つに関しては通常通りの仕様だ。グリーンダイヤルのものは、プラチナケースに文字盤にマッチしたラッカー仕上げが施されている。加えて、グレーの文字盤とイエローゴールドのケース、トープグレーのラッカー仕上げベゼル、そしてブルーの文字盤とローズゴールドのケースの組み合わせもそれぞれお目見えした。 「これらのカラーは鮮やかですが、多くの時計ブランドが採用してきたパステルトーンとは異なります」。ウォルナーはロレックスの「オイスター パーペチュアル」や、映画『バービー』とも関わりが深いタグ・ホイヤーによるピンクウォッチを例に挙げ、そう語った。レネロは、これは意図して決定されたものだと話す。「私たちの考えるエレガンスを表現するために、このようなニュアンスあるカラーが欲しかったのです」 レネロはさらに続けた。「ケースとベゼル、文字盤にラッカー仕上げを施したモデルでは、時間を知らせるという基本的な機能を変えることなく、ひと味違ったエレガンスの提案により深く踏み込むことができました」 2024年は、カルティエの「サントス」ファンにとって素晴らしい年になりそうだ。「私たちは目新しいモデルを非常に多く、定期的に発表していますが、そのためにほかのモデルが埋没してしまうことがあります。ですから、私たちが今年『サントス』で目指したことにあなたが注目してくれて、うれしく思っています」と、レネロは話した。「新作は『サントス』にどれだけの可能性が広がっているかを示すものです。とても機能的でありながら、同じくらいエレガントなのだとね」 From British GQ by Mike Christensen Photography by Thomas Chene Translated and Adapted by Yuzuru Todayama
【関連記事】
- 【写真を見る】「サントス ドゥ カルティエ」は永遠の“イットボーイ・ウォッチ”だ!──Watches and Wonders Geneva 2024
- 「サントス ドゥ カルティエ」のブラウン文字盤&ノンデイトは、クワイエット・ラグジュアリーの正解!──GQ新着ウォッチ「Watches and Wonders Geneva 2024」リポート
- パンダ顔は、この控えめな感じが気分! タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフは83万6000円────GQ新着ウォッチ「Watches and Wonders Geneva 2024」リポート
- ロレックス、2024年注目の新作を総ざらい!──Watches and Wonders Geneva 2024
- ロレックス、カルティエ、タグ・ホイヤー。アカデミー賞2024レッドカーペットのベストウォッチはこれだ!