宝塚歌劇団宙組 9月の娘役転落死から9か月ぶり再開へ 6月20日からショーのみの演目 SNSでは賛否両論
宝塚歌劇団は13日、宙組が「Le Grand Escalier―ル・グラン・エスカリエ―」(兵庫・宝塚大劇場=6月20~30日、東京宝塚劇場=7月20日~8月25日)で公演活動を再開すると発表した。宙組は昨年9月30日に娘役生徒のAさん(享年25)が転落死して以降、翌10月1日からすべての公演を休止。約9か月ぶりの再始動となる。 演目は大劇場では異例の1時間ほどのショー1本のみで、芝居はなし。歌劇団はホームページで「十分な準備期間を確保し公演の万全を期すため」と理由を説明し、「ご容赦、ご斟酌(しんしゃく=事情をくみ取ること)賜れれば幸い」とした。Aさんの死去で本拠地新トップコンビお披露目が2日間の上演のみとなった芹香斗亜(せりか・とあ)&春乃さくらが主演する。 歌劇団は、過酷な労働条件や上級生のいじめ、パワーハラスメントなどが原因でAさんが死を選んだと主張する遺族側と計5度会合し、3月28日に合意書の締結を発表。歌劇団の村上浩爾理事長(57)は同日の会見で、宙組の公演再開について「まだ心身に負担のあるメンバーもいるかも」と前置きしながら「年内にも。遠くない将来」と慎重に語っていたが、会見から16日後のGOサインとなった。 ただ、報道陣に対して合意報告を同日同時刻に行った遺族側代理人によると、Aさんの親族への謝罪文を提出しなかった宙組所属の生徒が3人、今後提出を予定している者が1人いることが判明。また、Aさんの同期と3期後輩の娘役2人が同31日に電撃退団した。 現在62人いる宙組生のうち、何人出演するかは、後日発表される。再開にSNS上では「待ってました」「応援します」と歓喜するファンがいる一方で、「時期尚早」「一周忌まで待つべき」との声も上がっている。 〇…宙組ではAさん死去前、本拠地で5月17日から劇団創立110周年記念奉舞と人気ゲームの舞台版「ファイナルファンタジー16」の上演を予定していたが、後者はタイアップ企画でもあり、3月5日に両演目の見送りを発表していた。再開のショーは、次の雪組公演の日程には影響せずに上演される。また、先月30日に月組でデビューした第110期生は、複数班に分かれて各組で研修する「組回り」を10期ぶりに経験するが、宙組も対象になる可能性がある。
報知新聞社