【思考力チェック!】AはBを見ている。BはCを見ている。Aは結婚していて、Cは独身である。このとき「結婚している人が、独身の人を見ている」という一文はつねに正しいと言えるか?
「結婚しているAがBを見ている。Bは独身のCを見ている。このとき“結婚している人が、独身の人を見ている”という一文はつねに正しいと言えるか?」 これは知識や計算はいっさい不要で、「考える力」のみが問われる「論理的思考問題」のひとつ。論理的思考問題はGoogle、Apple、Microsoftといった超一流企業の採用試験でも出題され、「スティーブ・ジョブズ超えの天才」と言われたあのピーター・ティールも自社の採用試験に取り入れた。これまでの正解が通用しない時代に必要な「思考力」を鍛える、「最高の知的トレーニング」でもある。 そんな論理的思考問題の傑作を世界中から収集し、解説した書籍が『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』だ。「論理的思考」「批判思考」「水平思考」「俯瞰思考」「多面的思考」が身につく67の問題を紹介。「頭のいい人の思考回路」がわかり、読むだけで、一生モノの武器となる「地頭力」が鍛えられると話題。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、「パッと見の印象に流されない人」だけが解ける問題を紹介する。(構成/石井一穂) 【この記事の画像を見る】 ● 結論ありきで考えていないか? 批判思考の土台となるのは、瞬間的な印象に流されずに考える姿勢です。 ぱっと見で結論を出したくなる問題に、冷静に向き合えるでしょうか? 「世界一単純な問題」 AはBを見ている。 そして、BはCを見ている。 Aは結婚しているが、Cは独身である。 このとき、「結婚している人が、独身の人を見ている」という一文はつねに正しいと言えるだろうか? イラスト:ハザマチヒロ 次のページで、正解と考え方をお伝えします。
<正解> 「結婚している人が、独身の人を見ている」 この一文はつねに正しいと言える はじめてこの問題を見たとき、「ファッ!?」と口に出して驚きました。 だってどう考えても、「これだけでは決められない」としか思えなかったからです。 だけどそこは論理的思考問題。 ちゃんと答えが出る問題でした。 SNSでも度々話題になる、論理的思考問題史上、最もシンプルで面白い一問だと思います。 ● 謎に包まれたBのステータス 問題文からわかっているのは、 A=結婚している C=独身 ということだけであり、Bは「結婚している/独身」が不明です。 つまり3人の関係はそれぞれ、 A(結婚)→B(?)→C(独身) という構図になり、「結婚している人が独身の人を見ている」という命題に「いつもかならず正しい」とは言えない……はずです。 ● 検証すると見えてくる答え ですが、実際に検証してみると、そうではないことがわかります。 答えを言ってしまうと、 Bが「結婚している/独身」のどちらであっても命題は正しく成立します。 では、検証してみましょう。 ・Bが結婚している場合 A(結婚)→B(結婚)→C(独身) 結婚しているBが、独身のCを見ています。 ・Bが独身の場合 A(結婚)→B(独身)→C(独身) 結婚しているAが、独身のBを見ています。 このように、Bが結婚していようがいまいが、「結婚している人が独身の人を見ている」という状況はつねに成立するのです。 ● 「思考」のまとめ 検証するだけで解ける、最もシンプルな問題でした。 与えられている情報量が少ないからといって、すぐに「そんなはずがない」「わかるはずがない」とあきらめてはいけないと教えてくれます。 情報を集めきってからでないと問題は解けないと思いがちですが、手元にある情報を使って検証してみると、意外とそれだけで答えが導けたりすることもあるんですね。 ・情報が少ないからといって「わかるわけがない」という結論に飛びつかず、「まず考えてみる」という姿勢を大事にする (本稿は、『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』から一部抜粋した内容です。) 野村裕之(のむら・ひろゆき) 都内上場企業のWebマーケター。論理的思考問題を紹介する国内有数のブログ「明日は未来だ!」運営者 ブログの最高月間PVは70万超。解説のわかりやすさに定評があり、多くの企業、教育機関、テレビ局などから「ブログの内容を使わせてほしい」と連絡を受ける。29歳までフリーター生活をしていたが、同ブログがきっかけとなり広告代理店に入社。論理的思考問題で培った思考力を駆使してWebマーケティングを展開し、1日のWeb広告収入として当時は前例のなかった粗利1,500万円を達成するなど活躍。3年間で個人利益1億円を上げた後、フリーランスとなり、企業のデジタル集客、市場分析、ターゲット設定、広告の制作や運用、セミナー主催など、マーケティング全般を支援する。2023年に現在の会社に入社。Webマーケティングに加えて新規事業開発にも携わりながら、成果を出している。本書が初の著書となる。
野村裕之