「歴史を残すものに」…ぼろぼろになっていた巨大和傘 半年かけて“悲願”の修復 直径6メートルの産地のシンボル
「日本一の大きさのものを作ろう」と1989年に制作したが…
長野県喬木村の阿島傘資料館で昨春まで展示していた直径約6メートルの巨大和傘を、村地域おこし協力隊の小林旅人(たびと)(本名・修)さん(55)=阿島北=らが半年かけて修復した。2024年度に村が発足150周年を迎えるのを記念した取り組み。装いを新たにした巨大和傘が、「阿島傘」産地として知られる地域のシンボルになってほしい―と願っている。 【写真】一体、何人入れる?直径6メートルに広げた巨大和傘
巨大和傘は、村が「日本一の大きさのものを作ろう」と1989年に村発足115周年を記念して制作。全国各地で和傘の文化研究や技術継承に取り組んできた小林さんは「公開されている竹製和傘では現在、国内最大級ではないか」とみる。
張り替えはしたが、劣化が進み…
20年ほど前に和紙を貼り替えたが、紙が変色し、ぼろぼろになるなど劣化が進んでおり、小林さんにとって巨大和傘の修復は悲願だった。県の地域発元気づくり支援金の対象に選ばれ、修復費用を調達。今回は壊れた骨組みを直すだけでなく、貼り直した紙には「地域の人々の歴史を残すものにしたい」と村民らに色とりどりの手形を押してもらった。
地域文化を「将来につなぐ」
小林さんは、3年前まで協力隊員として暮らした徳島県の産地でも和傘文化を研究。喬木村の協力隊員としての任期は3月末までの予定だったが、阿島傘の保存会などの要請もあり、村は任期を1年延長する方向で調整している。保存会員の高齢化が進んでおり、小林さんは任期が延長されれば保存会の後継者育成にも取り組む。「地域の文化を将来につなげられるよう頑張りたい」と意気込んでいる。
村は9月に開く村発足150周年記念式典で、住民たちが間近で巨大和傘を見学できるようにする予定。9月までは旧喬木北保育園の園舎に置いてガラス越しに見られるようにする。村企画財政課係長の桂周平さん(39)は「今後も節目の年ごとに村のシンボルになるよう(巨大和傘を)活用していけたら」と話している。