ネガティブ思考を断ち切るための、シンプルな3つの戦略
求めているものしか見えず、求めていなければ見えない
『Proverbial Beauty(旧約聖書「箴言」の中にある美)』のなかで、ある実験と初めて出会ったときのことを回想しています。 ハーバード大学のクリストファー・チャブリス氏とダニエル・サイモンズ氏が行なった、いまではすっかり有名になった心理学の実験です。 そのビデオのなかで、何人かの選手が動き回りながらバスケットボールをパスし合っています。 実験参加者には「白いシャツを着た選手たちが、パスを何回したかを数えてください」という指示が与えられました。 そして、ビデオが終わるとこんなキャプションが画面に表示されました。 「正解は15回です。ところで、あなたはゴリラがいたことに気づきましたか?」 実はビデオのなかで、ゴリラのぬいぐるみを着た男性が選手の間を歩き、カメラの方を見、胸を叩き、カメラのフレームから消えていったのですが、参加者の50%がそれに気づきませんでした。 私もそのなかのひとりです。ここから得られる驚きの教訓は、私たちの目に見えるのは、自分が求めているものであり、求めていないものは見えないということです。 考え方についても、同じことが言えます。 ポジティブなマインドセットシフトには、現実に対する認識を文字どおり変える力があります。
未来を計画するための3つの戦略
これはなにも、底抜けの楽天家になれということではありません。 「万事快調」を装って問題を無視すれば、その先に待ち受けているのは大惨事にほかなりません。 反対に、全体を見ずに個々の問題ばかりに目を向けていると、そのせいで何かにつけて物事を悪くとらえるようになり、それがみずから破滅を招く自己成就的予言へとつながります。 これがとりわけ顕著なのが、政治の世界です。 進歩主義者が目を向けるのは、実現可能なより良い世界であるのに対し、保守主義者が目を向けるのは、かつてあったより良い世界です。 そして結果的に、両者はともに、いまの世界にある良いところを何かにつけて否定し、これが社会の崩壊と文化の混沌をさらに加速させています。 ビジネスの世界も同じです。 暗い見通しを悲嘆することで生まれるのは、絶望と無力感、悪い予感からなる有害な雰囲気です。 反対に、絶え間ない向上に目を向けて1つ1つの勝利を祝っていくと、そこには熱意に満ちたエネルギッシュな文化が生まれます。 良いところを正しく評価すること。もっと良くなる方向に追求すること。 これらふたつのバランスをうまく取れば、心理学的な操作や二重思考に走る必要はなくなります。 現状を基盤とした未来のプランニングには「いま何がうまくいっているのか」を認識することがシンプルに必要なのです。 だからこそリーダーは、感謝と透明性に満ちた空気を育まなければならないのです。 そのためのシンプルな戦略が、こちらの3つです。 従業員やチームメンバーの努力を正当に評価するための、クリエイティブで継続的な方法を考案する。 掛け値なしにポジティブな要素を称賛することを、組織文化のなかに穏便かつ継続的なかたちで設定する。 懸案中の決定事項について意見を求める。決定の後は、その決定がなぜ、どのように下されたのかについても説明する。 旧約聖書「箴言」のなかで、ソロモン王はこう教えています。 水が、顔に対して顔を映すように、人の心は、人に対して人を映す 良いところを見ることに意識を向ければ向けるほど、ポジティブさがまわりの人たちに伝わります。 そして、私たちの世界の良いところをほかの人たちに映し出し、伝えていくと、そうした良いところが私たちに返されてくるのです。 Source: The Ethics Ninja Originally published by Fast Company [原文] Copyright © 2024 Mansueto Ventures LLC.
ガリレオ