<ラグビー>トップリーグの前売り完売で空席あり問題は解消できるか?
ラグビー日本代表が2015年9、10月のワールドカップイングランド大会で3勝を挙げ、世が空前の楕円球ブームに見舞われるなか、思いがけぬ事件があった。11月13日、東京は秩父宮ラグビー場。パナソニックとサントリーがぶつかる開幕節のスタンドに、空席が目立ったのだ。 ワールドカップは2000万人以上の国民が観ていたと言われており、トップリーグも開幕戦など一部の前売り券が早々と完売。ファンクラブや後援の新聞社の招待券(約10万枚が出回っているとされる)など、無料チケットは使用不可と告知されていた。満員のスタンドのもとでのキックオフが、ほぼ確実視されているなかの出来事だったのだ。 公式入場者数は「10792人」。前年度開幕の「11162人」を下回ったとされる。この日も従来通り、外部のイベント運営スタッフが手動の数取器で人数をカウントしていたようだが、あるチームの関係者はこう指摘する。 「見た目上は去年以上の客入り。計測方法は不備があったのでは。初めてラグビー場に来た人への案内は間違いなく、多かった。その間に『カチカチ』を押せなかったとしても不思議ではありません」 かくして、「ファンがチケットを買えなかった開幕戦の客入りが、去年の開幕戦のそれより少ない」というニュースが全国に拡散されたのだった。 この日は選手が帰ったのち、主催する日本ラグビー協会(日本協会)のチケット担当者がプレスルームで事態を説明。「一般販売数5000枚が完売」「両チームへ渡った9000枚のチケット(有料)やその他回数券など、有料チケットがすべて利用されると見込んだのが誤りだった」といった旨の説明を繰り返していた。発見は、過去のラグビー界がいかに一般のチケット販売に頼らぬ収益構造で保たれてきたということか。 もっとも、説明と謝罪が終わったのち、その場に居合わせたサントリーの関係者は残念な気持ちになった。説明された数字に誤りがあると感じていたからだ。 トップリーグの各クラブはシーズンごとに、当該チームの試合ならいつでも試合を観に行ける有料の「チーム券」を大量購入。開幕戦やビッグゲームなど、より多くの観戦ニーズが見込める試合についてはその日限定の「日付指定券」を協会から買うのが通例とされている。