岐阜の「郡上おどり」を青山で満喫 「青山」地名由来の郡上八幡
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岐阜県郡上市で400年以上にわたり踊り継がれている「郡上おどり」。日本三大おどりの一つともいわれるこの踊りの輪が、東京の都心で広がった。26日、27日の2夜にわたり秩父宮ラグビー場駐車場で開かれた「郡上おどり in 青山」(青山外苑前商店街振興組合主催)には、たくさんの地元住民や踊り客が訪れ、一足早く“夏の踊り”を楽しんだ。
郡上八幡の夏の風物詩
東京・青山で行われるこの催しは今年で22回を数える。青山と郡上の縁は意外に古く、江戸時代に郡上八幡城主だった青山公の江戸屋敷や菩提寺がこの地にあったことにさかのぼる。「青山」という地名はこの青山公が由来だ。「本場の郡上おどりを青山で」と郡上側を招いたことから始まった。 郡上市は岐阜県中部の山あいの町。郡上おどりはその郡上八幡の夏の風物詩で、7月中旬から9月上旬まで33夜にわたって続く“日本一のロングラン盆踊り”。8月13日から16日の徹夜おどりがクライマックスになる。「かわさき」など10種類の踊りがあり、地元の人だけでなく、観光客も一緒に輪になって踊るのが特徴だ。
今年は初の「金」「土」開催
青山での郡上おどりは例年、土曜と日曜の開催だったが、より幅広く参加してもらうため、青山がオフィス街であることを考慮し、今年は金曜と土曜の開催となった。26日の金曜はあいにくの雨に降られたが、仕事帰りと思われるハイヒールの女性らの姿がみられた。 最終日の27日は曇り空ながらも雨は降らず。踊り開始前には、郡上市の日置敏明市長が「かわさき」の有名な一節『郡上の八幡出てゆく時は、雨も降らぬに袖しぼる』を持ち出し、「昨日は雨が降ったことで(浴衣の)袖をしぼったが、きょうは唄のとおり踊った汗で袖をしぼってほしい」とあいさつした。 郡上おどりは輪踊りといって、踊り手が輪をつくって回りながら踊る。会場には、郡上おどり保存会が唄や三味線、笛、太鼓を演奏するやぐらが組まれ、それを中心に浴衣姿や私服の踊り客が踊った。午後5時。「古調かわさき」から静かに始まった踊りの輪は、定番の「かわさき」や軽快な「春駒」で、どんどん広がっていった。踊り手は曲の調子に合わせ、手拍子や合いの手を入れ、下駄を鳴らす。コスプレをして臨む人や、輪の外では、見よう見まねで踊りを真似して覚えようとする人たちの姿もみられた。
地元の青山出身の男性(31)は、友人ら5人を連れて踊りに来た。「ここ5年くらい毎年来ている。郡上おどりは小学校の運動会でも踊っていて身近な踊り。ノリのいい『春駒』が好き」と思い入れのある様子。友人の女性(26)は「思ったより踊りの輪が大きい」「お年寄りから若い人まで一緒に踊っている」と初めて見る郡上おどりの活気に驚いていた。 日が暮れ、会場のちょうちんが灯り出すと、夕闇の中で踊りの輪はさらに加速していった。今年の郡上おどりは7月11日から9月5日まで行われる。