【甲子園熱戦レポート│4日目】4長打8得点で快勝!3年前から低反発バット対策に取り組んでいた神村学園の「打撃改革」<SLUGGER>
塩田部長が続ける。「基本的な形は一緒なんですけど、選手一人一人に合わせて指導をしてもらって、それを3年間試行錯誤してきているので、成果が出てきてはいると思います」 塩田部長の話を総合すると、外部コーチの指導は動作解析から始まるという。選手個々のスウィングを分析し、それぞれが取り組むべきバッティングを決め、その向上に心がける。「練習では選手らで話し合いながらできている」と入来田は話す。 小田監督は成果を通じてバッティングにおいて大事なことを話す。 「低く強い打球を打つというのは変わらない。飛ばそうとしたらみんな開きが早くなって引っ掛けるので、そうじゃないなと。だから、低反発バットになって特別大きく変えたつもりはないですけど、どういう感じで打ったらより力が加わって強い打球が行くのか、 コンタクト率を上げるための取り組みをしました」 金属バットのおかげで軽く振れるため、高校生はスウィングに入るまでに動きを入れがちだが、神村学園の選手たちはトップが実にシンプルで、主砲の正林などでもコンタクト率を意識しているのが見て取れる。 正林は言う。「しっかり自分のスウィングの中にボールを入れてくるというのを意識してやっているので、結果につながっていると思う。バットが細くなってファウルが増えるんですけど、どんな球でも対応できるスウィングを心がけています」 鹿児島大会では全試合で8得点以上をマーク。県内の強豪を圧倒して甲子園へと駒を進めてきた。甲子園1回戦でもその打棒を発揮し、8得点を挙げて初戦を突破した。 低反発バットに3年以上も取り組んだ出場校はそう多くないだろう。神村学園は一歩先にいる。だから、とてつもない打棒を発揮しているのだ。 取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト) 【著者プロフィール】 うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。
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