宇野昌磨さんら育てた樋口美穂子コーチの「秘蔵っ子」中学2年の松本悠輝、「うまくなるため」北海道から愛知へ、着々と力を磨く
フィギュアスケート男子の平昌冬季五輪銀メダル、北京冬季五輪銅メダルの宇野昌磨さんらを育てた樋口美穂子コーチの「秘蔵っ子」が、中学2年の松本悠輝(13)=LYSインカラミ=だ。小学6年生の秋に、故郷・北海道から愛知県へ転居。ノービス時代から全日本ジュニア選手権に推薦出場するなど躍進するかたわら、着々と力を磨く。 まだ線の細い体が、銀盤の上で力強く躍動する。ジュニア1年目の今季、西日本ジュニア選手権で4位に入り、ノービス時代から2年連続となる全日本ジュニアに出場。昨季は届かなかったフリーの演技にたどり着き「最後まで出し切れた感じだった」と手応えを得た。 生まれ育った北海道からフィギュア王国・愛知へ移った理由は「うまくなるため」。ほどなくして、昨季の世界ジュニア3位の上薗恋奈を擁するLYSへ移籍した。松本を受け入れた樋口コーチも「頑張りたいという気持ちが強い。すごくどん欲」とその向上心を語り、松本とかつての教え子との共通点を明かす。 「昌磨もすごく練習する男の子だった。彼(松本)も真面目にできる。やり続けられるところは似ているかな」。宇野同様に、地道なメニューでも手を抜かない努力家だが「こんなに努力しているんだ、という風じゃない。彼は普通なんだと思う」と樋口コーチ。スケートが好きだから、松本の意識はごく自然に練習へと向かうという。 出会って2年弱、樋口コーチの目にも「すごく変わった」。クラブ入り当初はジャンプへの恐怖心が勝り、同じリンクを使う上薗が5回ジャンプを跳ぶうちに松本がようやく1回跳べるような状態。「(跳ばないと)私に怒られるから、そっちの怖さのほうが」と冗談めかしつつ「でも、いまはもう(上薗)恋奈ちゃんと変わらないくらいの数を跳ぶ」と松本の成長に目を細める。 こつこつと練習を重ねる才能を持つ13歳。樋口コーチが語る課題は「まずはジャンプ。まずはトリプルアクセルと言っている」。松本も「全中までにトリプルアクセルを構成に入れられるようにしたい」と、2月の全国中学校スケート大会に照準を合わせる。名コーチと巡り合った、素朴ながらどん欲な少年のサクセスストーリーはまだ始まったばかりだ。 (渡辺拓海) ▼松本悠輝(まつもと・はるき) 2011年2月25日生まれ、北海道帯広市出身の13歳。152センチ。名古屋市立藤森中2年。5歳から帯広OFCでフィギュアスケートを始め、スペリオール愛知FSCをへてLYSインカラミ。23年の全日本ノービス選手権3位で全日本ジュニア選手権に推薦出場。現在は樋口美穂子コーチ、樋口将太コーチ、山田梨江コーチに師事。趣味はボウリング。
中日スポーツ