楳図かずおさんが投稿の直筆原稿「生前に返せてよかった」 70年余り保管の宮崎晴吾さん(青森市)
10月28日に死去した漫画家の楳図かずおさん。プロデビューする前の直筆原稿を所有し、昨年、本人に返却した青森市の宮崎晴吾さん(90)は楳図さんの訃報に驚きつつ、「生前に返すことができてよかった」と心境を語った。 宮崎さんは木造高校在学時代、仲間と漫画サークルをつくり、同人誌「漫画展覧会」の編集長を務めた。雑誌を通じて掲載作品を全国募集したところ、奈良県在住の楳図さんからも投稿があり、1952年から54年まで作品を掲載した。 「絵を見て画力の高さに度肝を抜かれた」と宮崎さん。同人誌は55年で終刊したが、プロになった楳図さんと10年ほど手紙をやりとりするなど親交が続いた。 宮崎さんは一度、浜松市の友人とともに楳図さんの東京の仕事場を訪ねたことがある。「インパクトがある絵の印象と違って、口数の少ないおとなしい人で、仕事の様子や生原稿を見せてくれた」という。 昨年、楳図さんの連載を掲載していた大手紙を通じて、70年余り保管していた直筆原稿を楳図さんに寄贈した。宮崎さんは「いつかは返したいと思っていたので、(受け取った)楳図さんが喜んでくれたと聞いてほっとした。少し変わり者だったが古くからのよき仲間。知り合えてよかった」と話した。