「東洋一のサナトリウム」茅ケ崎・旧南湖院の庭園が公開
かつて「東洋一のサナトリウム(結核療養施設)」と呼ばれた茅ケ崎市の旧南湖院。その文化的価値を知ってもらおうと、敷地の一部が「南湖院記念太陽の郷庭園」として4月1日から一般公開された。 1899年にクリスチャンの医師・高田畊安さんが設立した南湖院は、独自の療養哲学による「闘病生活のための環境整備」を行い、当時珍しかった水洗便所や汚水処理施設も備えた先端的な医療施設だった。最盛期の昭和10年代には5万坪以上もあったといい、作家の国木田独歩、中里介山、八木重吉らが療養生活を送ったことでも知られる。設立記念日のクリスマスには毎年「医王祭」が開かれ、地域住民や著名人も多数招かれた。
1945年に海軍に全面接収され、1956年に接収が解除されてからしばらくの後、1979年に畊安さんの孫にあたる高田準三さんが跡地の一部に老人ホーム「太陽の郷」を設立。同ホームを運営する一般財団法人南湖荘が昨年、旧南湖院の中核施設だった木造2階建ての「第一病舎」の建物と土地を茅ケ崎市に寄付したことから、文化的所産の活用に向けた協定を市と結び、共同で庭園を管理する。 第一病舎は南湖荘が寄付耐震補強や内外装の工事などをした後で数年後に公開される予定で、病院経営の記録や当時の行事の映像などの公開、有形文化財への登録も併せて検討しているという。
庭園入り口付近の小さな丘陵地は富士見台と呼ばれ、国土交通省の「関東の富士見百景」にも選定された。春には梅や桜、藤、秋は彼岸花など、四季折々の花を楽しむことができる。 休園日は火曜・水曜と年末年始。開園時間は10時~17時(11月~3月は16時30分まで)。入園前に受付手続きが必要。来園は公共交通機関のみ。 (齊藤真菜)