生保の円債回帰進む公算、外債投資は慎重か-今週から運用計画発表
(ブルームバーグ): 日本銀行のマイナス金利政策の終了を受けて、生命保険各社は2024年度に日本国債の保有を増やす可能性が高い。金融政策の正常化が慎重に進むとみられる中、金利上昇局面で超長期債への投資が続きそうだ。一方、外国債券は為替リスクを管理しながらオープン外債を増やす公算がある。
日本生命保険、住友生命保険、第一生命保険、かんぽ生命保険、明治安田生命保険をはじめとする全国の生保は、今週から来週にかけて今年度の運用計画を発表する。資産運用残高の合計は1月末時点で387兆円に上るため、計画に対する世界の投資家の注目度は高い。注目点は資金が日本国内に回帰するかどうか。また、コストがかかるため円高をヘッジした外債の売却を継続する方針も示されそうだ。
富国生命、明治安田生命、かんぽ生命など多くの生保は1月、日銀の金融政策が不透明な中、低い利回りを理由に日本国債の購入を控えているとしていた。日銀は3月にマイナス金利政策とイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策を解除、今年後半には追加利上げに踏み切るとみられている。
三井住友信託銀行の瀬良礼子マーケット・ストラテジストは、生保の投資について「超長期債の利回りが2%に近づいているので、生保が購入しやすい環境になってきている」と語る。生保がALM(資産・負債の総合管理)で選好する30年国債の利回りは、年初から約30ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して1.92%になった。
外債については、為替リスクをヘッジした債券は引き続き削減していくと予想。一方、為替リスクを取る「オープン」外債は「国内債券から2%以上のリターンを見込むのは難しいため、為替リスクを慎重にコントロールしながら積み増すだろう」と述べた。
日本証券業協会のデータを基にしたブルームバーグの推計によると、生損保を含む保険会社は23年度に国内債券を4兆4000億円程度買い越した。22年度は5兆8000億円だった。また財務省のデータによると、生保の23年度の外債売越額は2兆4000億円。記録的な売り越しとなった22年度の14兆円に続く売り越しとなった。