「もう魂を奪い取って」生存者が証言 シリア・アサド政権下“拷問刑務所”の実態
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中東シリアのアサド政権下で、体制に批判的だった人らが投獄されていた刑務所の元収容者がJNNの取材に応じ、その実態を語りました。 JNNの取材に応じたのは、エリアス・アブドラさん。政権に批判的だった人らが「政治犯」として収監されていた、サイドナヤ刑務所の元収容者です。 元収容者 エリアス・アブドラさん 「サイドナヤのなかを歩いていることが信じられない。それも自由に」 レバノンで生活していたアブドラさんは2008年、シリアに入国しようとした際に、アサド政権に反対する人物との関連を一方的に疑われ、投獄されました。 2011年まで3年4か月にわたってここに投獄された後、別の刑務所に移送され、政権が崩壊して自由の身となりました。 元収容者 エリアス・アブドラさん 「ここだ、この部屋だ」 収容されていた人たちのものと思われる衣服などがそのまま残されていました。 元収容者 エリアス・アブドラさん 「ここは寒かった。洋服がない人もいた。これは食べるときに使っていた。看守はカートで食べ物を持ってきて、僕らがこれを渡すと、この中に食べ物を入れた」 少しの食料を一緒に投獄されていた25人ほどで分け合っていたと言います。 また、わずかな光しかない地下に進むと、独房が広がっていました。 元収容者 エリアス・アブドラさん 「(遺体を)持ち上げて運ぶことは認められず、足を持ってひきずるように独房の外に出す。そうすると看守が遺体袋を持ってきて、その中に遺体を入れる。その後、遺体がどこにいったのかは誰も知らない」 繰り返される拷問や栄養失調から、ここで息絶える人も多かったと話すアブドラさん。 アブドラさんは独房にいた数か月の間に、40人から50人が死んでいったと話します。 元収容者 エリアス・アブドラさん 「魂を奪い取ってくれと神に祈った。これ以上生きていたくなかった」 国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」は、2011年からの5年間だけで、実に1万3000人が処刑されたと報告。実際の死者は、さらに多いとみられています。
TBSテレビ