〔国内〕2024年3月の災害を振り返る
2024年3月に発生した国内での大規模な災害、事故・事件の案件について振り返ります。 ※被害の内訳については、原則的にレスキューナウによる情報取りまとめ時のものです。それぞれの記事の最終更新日以降の状況については反映されていないことがあります。 ●3月 【自然災害】雪崩による人的被害 各地で相次ぐ 2024年3月、全国各地で雪崩による人的被害が相次いだ。 3月2日12:00過ぎ、鳥取県の大山で登山中の3人が雪崩に巻き込まれた。70代の男性1人はすぐに救助され、命に別状はなかった。残る50代の男性2人については、警察による捜索が続けられていたが、1人は3月16日に、もう1人も3月30日にそれぞれ発見され、死亡が確認された。 3月3日12:30過ぎ、北海道の利尻山で、バックカントリーのツアー客のうち7人が雪崩に巻き込まれ、40代の女性が死亡し、20代の男性が足の骨を折る重傷、そのほかツアー客2人が軽いけがをした。その後、日本雪氷学会の調査で、幅130m、長さ700mにわたる大規模な表層雪崩が発生していたことが判明した。また、同じく3日15:40頃、北海道の東狩場山でも雪崩が発生し、バックカントリーでスノーモービルに乗っていた15人のグループのうち、20代の男性1人が雪崩に巻き込まれて死亡した。 3月11日11:00頃には北海道の羊蹄山でバックカントリースキーなどをしていた外国籍の男女3人が雪崩に巻き込まれた。このうち30代の男性1人と20代の女性1人が死亡し、別の男性1人がけがをした。同じく11日の12:40頃、北海道のイワオヌプリでもバックカントリーでスキーをしていた外国籍の30代の男性1人が雪崩に巻き込まれ、病院に搬送された。 【事故】山口県下関市の六連島沖でタンカー転覆 [被害]死者9人 行方不明者1人 2024年3月20日07:00頃、山口県下関市の六連島の北北西の沖合で、悪天候により停泊していた韓国船籍のケミカルタンカー「KEOYOUNG SUN(キョヨン・サン)」(870トン・1996年建造)から「船が傾いている」と救助を要請する通報があった。門司海上保安部が巡視船や航空機を出動させ、転覆した状態の船を発見した。 乗組員はインドネシア人8人、韓国人2人、中国人1人のいずれも外国籍の11人。救命胴衣を着用していた9人は救助され、病院に搬送されたが、8人が死亡した。その後の夜を徹した捜索により、翌朝新たに1人が発見されたものの、死亡が確認された。残る1人は行方不明のままとなっている。 転覆した「キョヨン・サン」は、兵庫県の姫路港を出港し、韓国の蔚山へ向かう途中、悪天候のため20日00:00頃に「緊急入域」を申請。六連島沖に停泊し、天候が回復するのを待っていた。 福岡管区気象台によると、事故当時、現場周辺には暴風警報と波浪注意報が発表されていた。タンカーには有機化合物「アクリル酸」約980トンが積まれていたが、流出は確認されていない。 【自然災害】栃木県と埼玉県で震度5弱 茨城県南部が震源 M5.3 [被害]人的被害なし 建物の一部損傷あり 2024年3月21日09:08頃、茨城県南部を震源とするM5.3の地震が発生し、栃木県下野市と埼玉県加須市で震度5弱の揺れを観測した。また北関東の広い範囲で震度4を観測した。 この地震による揺れで、栃木県下野市、埼玉県加須市、埼玉県さいたま市の学校や公共施設で天井のボードやパネルなどが落下したほか、壁にひびが入るなどの被害が発生した。また、揺れを観測した各地でエレベーターの一時停止も発生したが、いずれも人的な被害は発生しなかった。 地震による揺れが強いエリアを通る東北・上越新幹線や東武鉄道の一部路線で運転を見合わせたが、11:00までに運転を再開した。また、一部のJR在来線でも一時、安全を確認するために速度を落として運転したほか、東北自動車道など高速道路では速度規制が行われた。茨城県の東海第二原子力発電所など、茨城県内にある原子力関連施設には異常はなかった。 関東では、約1か月前の2月26日以降、千葉県東方沖とその周辺で地震活動が活発となっていた。今回の地震は千葉県東方沖の地震との関連性はなかったが、気象庁は揺れの強かった地域で落石や崖崩れなどが起こりやすい可能性があるとして、1週間程度最大震度5弱の地震に注意するよう呼びかけた。
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