軽やかで理知的なファーストレディに憧れる!『レディ・バード・ジョンソンの日記』
今より生きていくのがずっと大変であったであろう一世代、二世代前の先輩女性たち。そんな時代にも関わらず、社会へ一石を投じ、自分らしく生きた女性たちがいた。彼女たちの活躍により、今日、女性が活躍できる社会が築かれつつある。先輩女性から学びを得ることができるエンタメ作品を紹介 【写真】女性の生き方に感動!珠玉の配信作品3選
出しゃばらずとも巧みに自分の考えを示す──『レディ・バード・ジョンソンの日記』
ケネディ大統領暗殺事件で副大統領から大統領に昇格し、政権を引き継いだ第36代アメリカ合衆国大統領リンドン・ジョンソン。その妻であったレディ・バード・ジョンソンが残した音声日記を元に、大統領を支えるファーストレディとしての務めや、ホワイトハウスでの生活を描いたドキュメンタリー作品。 レディ・バードという名は、本名ではなく子供の頃から一貫して使用していた本名同様の通称だ。本名はクローディア・アルタ・テーラー・ジョンソンと言い、一般にはほとんど知られていない。幼少期にてんとう虫(=レディバード)のように愛らしかったことから付けられ、本名のように定着したという。 リンドン・ジョンソンは、人種差別制度を禁止し、公民権法を成立させ、黒人初の最高裁判事を任命した大統領で、その功績はルーズベルト大統領に匹敵するほど目覚ましいと言われる一方で、ベトナム戦争への軍事介入を拡大させ、世論との対立を生み出した。 本作は、レディ・バードが録音した123時間に及ぶ音声テープを元に、その肉声と当時の映像やイラストを組み合わせて構成されており、ケネディ大統領暗殺事件の回想や、エアフォースワンの中で行われた大統領就任式の様子などの裏側を垣間見ることができる。 夫である大統領に「今日の演説はBプラス」と酷評したり、スピーチを変更するよう進言するも「口出しするな」と否定されたりするが、彼女の存在が政権運営に少なからず影響を与えている様子がうかがえる。 女性の立場が今ほど認められていなかったであろう時代において、男性に真っ向から立ち向かうのではなく、軽やかに理知的に振る舞う様子は、見習うべき姿勢かもしれない。とかくその装いが注目されがちなファーストレディだが、大統領に唯一、忖度せず進言できる人物として、市井の人々と国家とのパイプ役を果たした姿に、どんな女性にも必ずその人にしかできないことがあると勇気をもらえる作品だ。 『レディ・バード・ジョンソンの日記』 ディズニープラスのスターで独占配信中 BY KANA ENDO