人型ロボットのハチロウ君(左)が参加した授業=海陽町奥浦の海部小

　教育現場に情報通信技術（ICT）の導入を積極的に進めている海陽町の海部小に、教員が操作するロボットの「バーチャル転校生」がやって来た。授業に参加することで、児童から多様な意見を引き出すのが狙い。授業の様子を視察した教育関係者からは、驚きとICTへの期待の声が上がった。 めざすは「地元徳島の愛されキャラ」　歌にSNS発信、イベント運営と活動の幅を広げる 　人型ロボット「Pepper（ペッパー）」の「ハチロウ君」が転入生として6年生の社会科の授業に参加した。グループ別に5人の児童が戦国時代の武将について調べ、発表資料作成ソフトにまとめて発表した。発表後、ハチロウ君から内容を深掘りした質問が投げかけられると、他の児童からも質問が飛び出すなど、活発な議論が交わされた。 　ハチロウ君の発言は全て教師が遠隔で操作。児童の本音を引き出したいときや意見が偏ったときに、反対意見などを述べさせ、議論の活性化を促している。 　小濱優瀬（ゆら）さん（11）は「ハチロウ君がいい質問をしてくれた。いつもよりにぎやかな授業で楽しかった」と笑顔だった。担任の町口尭治（たかはる）教諭は「同じ小6の転校生という設定のハチロウ君を授業に活用することで、児童は他者を意識して分かりやすい発表を心がけていた」と話す。 　同校は県の教育DX推進事業の指定を受けており、今回の授業はその一環。県内の小学校教諭ら教育関係者約20人が授業の様子を熱心に視察した。大野小（阿南市）の谷篤彦教諭は「ICTを使って子どもの考えを広げることができる良い例。教育の可能性を感じた」と期待感を口にした。 　今後、活発な議論が必要な授業などで有効活用していく。授業は9月25日に実施された。