大谷翔平が“重荷”? 伊藤園、四半期決算で利益大幅減 原材料費高騰だけじゃない「宣伝費34億円」の大キャンペーン
広告業界は大ショックだというーー。 飲料大手の伊藤園が、2024年5~7月期の連結決算を発表した、売上高こそ約3%増の1250億円と堅調だったものの、営業利益が前年同期比で28%減の72億円と大幅減。純利益に至っては35%減の44億円と大きく沈んだのだ。 【写真多数】リトルリーグ時代の大谷翔平 2025年通期の業績予測はすえ置いたが、純利益は10%増の172億円を見込んでいただけに、今後、大幅な業績修正も予想される。 経済ジャーナリストの松崎隆司氏はこう解説する。 「国内事業の伊藤園単体では、主力の茶系飲料が微減しています。原材料の高騰などの理由もありますが、ここまで業績が落ちたのはやはり、広告宣伝費が重かったとしか言いようがありませんね。 4月から、ドジャースの大谷翔平選手とグローバルアンバサダー契約を結び、『♯お~いLAの大谷さん』キャンペーンを展開していますが、その影響か、広告宣伝費が20%も増加して、34億円もかかっています。短期的には、広告としての費用対効果が悪かったとしかいえません」 実際、この間に伊藤園が仕掛けた出稿量たるや、すさまじいものがあった。まず、アンバサダー就任発表前の4月30日、国内の全国紙と主要紙60紙に「伊藤園から大谷選手へのエールを込めた“お手紙”を公開」という全面広告を出稿。さらに、発表後の5月2日には、第1弾の広告として全国紙とスポーツ紙、米国の「LA Times」、世界各国で配信される「FinancialTimes」、さらに大谷選手とゆかりのあるハワイ州の地方紙「Honolulu Star Advertiser」、今季の開幕戦があった韓国の主要紙などで、大谷の所信表明つきの広告も展開した。 「さらに“大谷キャンペーン”の第2弾では,大谷選手のビジュアルを利用した人型パネルなどを販売店に設置し、国内主要ターミナルや、ニューヨークのタイムズスクエア、ロサンゼルス市内、台北市、ソウル市など85カ所に、デジタルサイネージ広告や大型壁面ポスターを掲出しました。 7月8日からは、ラベルに大谷選手の写真を使った限定ボトルも販売しています。この限定ボトルは海外でも発売されています」(広告代理店関係者) これほどの規模で“大谷推し”を展開すれば、出費がかさむのは当然のこと。前出の松崎氏がこう続ける。 「米国事業の売り上げは130億円と、前年同期比から11%増えているので、大谷効果はあったのかもしれません。しかし、為替レートが140円から157円と、円安が進んだので、実質の売り上げ高は微増にすぎません。 昨季からドジャースタジアムに『DAISO』の広告を出している100円ショップの大創産業は、海外での知名度が大幅にアップしたこともあり、今期の海外事業は好調のようです。伊藤園も、短期的には大谷翔平という“重荷”に苦労するかもしれませんが、長期的なブランド認知といったところで、広告効果が出てくることは否定できません」 目先の利益を度外視してでも、大谷を応援したいということか。