鉄道のまち、国鉄マンが親しんだ味 味や記憶継ぐ「伯爵邸」など多様な46店 さいたまの「大宮ナポリタン」
伯爵邸にもかつて旧国鉄の職員が多く訪れた。「仕事終わりの明け方に来て、おなかいっぱいにして帰っていった」。鉄道マンに親しまれたナポリタンは、今も大宮で多くの人に愛されている。(敬称略) ■商店街活性化で復活 2015年、大宮駅東口の住吉通り商店会のメンバーは悩んでいた。「駅の乗降客は多いのに、人が降りてこない」。商店会も時の流れとともに寂しくなった。活性化のため議論を重ね、ご当地グルメを開発することに。たどり着いたのが、大宮の鉄道員や工員に親しまれたナポリタンの復活だ。その名も「大宮ナポリタン」。 商店会の会長でもあった望月義一(81)が音頭を取り、「大宮ナポリタン会」を発足。伯爵邸やシェフズ・キッチン春など5店舗が参加した。氷川神社の鳥居の朱色、大宮区や大宮アルディージャの色でもあるオレンジと同じ色のナポリタンを新名物にしようというプロジェクトがスタート。旧大宮市内にある店舗で、埼玉県産食材を1種類以上使うことを条件にした。
西口にも広がり、カフェをはじめホテルやデパートのレストラン、中華、和食、タイ料理店などさまざまな飲食店が次々と加盟。一時は延べ79店舗に上った。3年前の新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、閉店に追い込まれた店舗もあり、現在は46店舗。望月会長は「住吉通りから始まった大宮ナポリタンが、ご当地グルメとして定着してきた。これからも加盟店舗を増やしていきたい」と意欲的に話している。