ずっと幸せが続く「賢いお金の使い方」とは? FPが提案するファイナンシャル・ウェルビーイング実践術
ウェルビーイングという言葉がにわかに注目を集めています。ウェルビーイングとは、肉体的、精神的、あるいは社会的に「よい状態(Well-being)」を意味する言葉で、日本語でいえば「広い意味での幸福」のような概念です。これを行政の目線でいえば「福祉」となります。10月には岸田内閣総理大臣所信表明演説にて「人々のやる気・希望・社会の豊かさなどの、いわゆる『ウェルビーイング』を拡げていく」という文言が取り上げられたことも話題となりました。 ずっと幸せが続く「賢いお金の使い方」とは? FPが提案するファイナンシャル・ウェルビーイング実践術 国としては、単純にGDPを増やすことより、国民のウェルビーイングを高める政策を考えたほうが費用対効果としては有意義になります(もちろんGDP向上も国民を豊かで幸福にする指標の一部です)。地方自治体や官公庁はウェルビーイング向上を意識したKPI(評価指標)を設定し、効果的な政策の実施に取り組むようになっています。 企業としては、社員が会社へのエンゲージメントの高い人材として働いてくれるほうが離職率も下がり生産性も向上します。そのため社員のウェルビーイング向上を目指しています。 それは単純に給料を増やすという観点ではなく、働きがいやストレスのない職場環境づくりなど、各社がKPIを設定しながら試行錯誤をしています。いわゆるウェルビーイング経営です。
個人の視点で考える「幸福度」。鍵となるのはファイナンス
ところがウェルビーイングの主体である「個人」についてはどうでしょうか。 もちろんウェルビーイング研究では、個人がどのようなときに幸福感を高めるか、知見を積み重ねています。しかし、具体的にウェルビーイングを高める方法として話題にされている分野は、感情としての幸福になります。 私はファイナンシャル・プランナーなので、「個人のウェルビーイングを高めるため『お金の働き』はどうか」ということを考えるようになりました。調べてみたところ、OECDの資料などでも、ウェルビーイングにおいて「ファイナンス」は外せない指標の1つになっています。 現実問題として、お金の上手な使い方はウェルビーイングを高めるために欠かせないファクターです。日々のお金が足りない人は幸福とはいえませんし、未来のお金に関する不安(たとえば「老後に2000万円」とか)を抱えている人と、今ある仕組みを理解し必要な備えをしている人では、幸福度はまた違ってきます。 しかしこれらは、キャリア形成や家計管理で大きく改善できます。お金との付き合い方をちょっと工夫すれば、もっとウェルビーイングを高める余地があるのです。