トラブル続き5年遅れのスタートへ 広島市のゴミ最終処分場 「ゴミの雨水汚染が心配」住民の不安は解消されず
広島市で不燃ゴミを新たに埋める最終処分場が、2025年春からの稼働を予定している。この施設は、度重なるトラブルで予定より5年遅れてのスタートとなるが、近隣住民の不安は払しょくされていない。
ゴミから染み出る雨水の汚染が不安
山の中のサッカー場のようなゴミの最終処分場「恵下埋立地」は広島市佐伯区湯来町にある。 広島市内全域の家庭と企業から出た不燃ごみなどを30年にわたって埋める計画で、2025年春の使用開始を前に住民の見学会が行われた。 住民は、過去のトラブルや環境への影響について強い不安を抱いている。2017年には、敷地内で廃タイヤの燃え殻5,600トンが見つかり、国の基準の10倍以上の高濃度ダイオキシン類が、また、その後も土壌から鉛が検出されたことが大きな懸念材料となっている。 このほか、大雨による県道の崩壊など、工事が中断されることが度々あり、当初の計画より完成が5年遅れた。住民は、これらの問題が将来的にどのような影響を及ぼすのかについて不安を感じていて、特に、ゴミから地中に染み出る雨水についての懸念が強い。 見学会に参加した住民からは「今後、どういう影響が出てくるのか、不安は払しょくされない」と将来への不安を強調する声が上がった。 また、農家は「水が汚くなったら、ものすごく農作物の人気が落ちる」と、その影響を懸念する。
広島市は「安全対策は万全」
住民の不安に対し、広島市は、二重の遮水シートを使用して地中に水が染み出ないようにするなどの対策を強調している。 広島市の埋立地整備管理課 中冨光信 課長は「市としては何重もの対策を施していて、心配されている浸出水の漏えいは万全を期した対策で『ない』と考えている」として、市民の不安を払しょくしようと努める。 また、別の職員は「いま考え得るなかでは、なかなかいいものを造ったんじゃないかと思っている」と、施設の安全性に自信をみせる。しかし、住民の不安を完全に解消するには至っていないのが現状だ。
住民と継続的な対話を
住民は、市に対し透明性を持った対応を求めている。 見学会である住民は「どういう意見があったか、そして人と対話していることを忘れないでほしい」と市の対応に釘を刺した。 また、「子どもたちをダイオキシンから守る会」の塚本雅彦 代表は「5年、10年後に影響が出た場合についても考慮し、さらなる対策を考えてほしい」と将来にわたって継続的な対話と対応を求めている。 広島市は「技術的な対策は万全で安全性に問題はない」と強調するが、住民の不安は完全には解消されていない。今後も住民との対話を重視し、透明性を持って対応することが求められる。 (テレビ新広島)
テレビ新広島