AAA・與真司郎 自身のセクシュアリティーをファンの前で公表「打ち明ける決意ができました」【全文】
活動を休止しアメリカを拠点に活動しているAAAのメンバー・與真司郎さん(34)が一時帰国し、26日に自身のファンイベント『與真司郎 announcement』を開催しました。イベントで與さんはゲイであることを公表。自身で書いた手紙を読み上げ「僕自身、長い間この不安と、闘ってきました。本当に何年もの間、自分の一部を、受け入れることができませんでした。それでも、さまざまな葛藤を乗り越え、今やっと、みなさんにこのことを、打ち明ける決意ができました」と今の思いを明かしました。 【画像】AAA・與真司郎、ゲイを公表 カミングアウトを聞いたファンの声 涙ながらに明かした與さんに、集まったファンからは「がんばれ」という声がかけられ、拍手がおくられました。
■【與さんが読み上げた手紙全文】
これから僕が話すことは、みなさんが期待して、望んでる内容ではないかもしれません。 中には、理解するのに時間がかかる方もいると思います。 でも、これから僕が話すことがキッカケで、少しでも、このことについて理解が深まり、世界が変わってくれることを、願っています。 今日、たくさんのファンのみなさんが、ここに参加することを希望していたのに、席に限りがあり、来られなかった方もたくさん出てしまったと、スタッフさんから聞きました。 これから話すことを、SNSや、プレスリリースを通して、発表するという選択肢も、正直ありました。 でも、今日はどうしても、みなさんの顔を見ながら、直接伝えるべきだと思い、このような形をとらせてもらいました。 僕自身、長い間この不安と、闘ってきました。 本当に何年もの間、自分の一部を、受け入れることができませんでした。 それでも、さまざまな葛藤を乗り越え、今やっと、みなさんにこのことを、打ち明ける決意ができました。 それは僕が、ゲイであるということです。 みんなたぶんすごく驚いていると思うしでも最後まで聞いてください。 カミングアウトを決意するまでに、すごく時間がかかりました。 自分ですら、自分のセクシュアリティーを、受け入れることができませんでした。 もし自分が、ゲイだということを認めてしまったら、今度は、世の中が自分のことを、 アーティストとして、認めてくれないのではないかと、恐怖を感じることもありました。 でも、悩みに悩んだ結果、ファンのみなさんをはじめ、僕が大切にしている全ての人たち、そして僕自身のためにも、本当のことを受け入れ、それをしっかりとみなさんに伝えることが、僕なりの誠意だと思いました。 そして、僕と同じ境遇に置かれている方々にも、勇気を持つキッカケにしてもらいたかった。 自分は一人ではないということを、わかってほしかったんです。 カミングアウトを決意する前は、2つの道だけしかないと思っていました。 1つ目は、本来の自分を受け入れることなく、エンターテインメントの世界に居続けること。 もう1つは、エンターテインメントの世界からしりぞいて、世間から隠れて、ひっそりと暮らすことでした。 でも、たくさんたくさん考えて、3つ目の選択肢に、たどり着きました。 それは、ゲイということを公表した上で、エンターテインメントの活動を続けるということです。 ありのままの自分で生きていく事で、大好きなエンターテインメントの活動を、諦めたくなかったんです。 僕はこれを機に、全く違う人間になってしまうわけではありません。 むしろ、このことを打ち明けたことによって、本来の自分をわかってもらい、ファンのみなさんとの距離が縮まることを、願っています。 自分がゲイであるということを、明確に理解するまでには、時間がかかりましたが、今振り返れば、昔からその認識はあったような気がします。 僕が子供の頃、テレビでは、LGBTQ+のことを、面白おかしく扱っている時代でした。 もちろんその頃は、今みたいにインターネットが普及していなかったので、自分のセクシュアリティーについて、疑問を持ったとしても、そのことについて知る機会が、ほとんどありませんでした。 だからその頃は、“自分が間違っているんだ”、“自分はおかしいんだ”と思っていました。 誰かにこのことを相談することもなく、自分の感情を押し殺していました。 そんな中、14歳でエンターテインメントの世界に入り、毎日仕事が忙しく、気付いたら自分の疑問や悩みが、多忙な日々にまぎれていきました。 その頃から、本当にたくさんの方々に、支えてもらってはいましたが、それでもどこかで、自分は一人ぼっちかのような感覚でした。 そんな生き方をしているうちに、このままではメンタルにも影響が出てくると思い、ある時、海外に移住することを、考え始めるようになりました。 海外に行き始めた頃の話ですが、ある日、男性同士が街ナカでキスをしているのを見て、僕は衝撃を受けました。 周りの人たちで彼らの行動を気にしている人は、誰もいませんでした。 その時初めて、自分は一人じゃないんだと、どこかホッとしました。 LGBTQ+の人でも、堂々と幸せになる道はあるんだと、希望が湧いてきました。 完全に自分のセクシュアリティーを受け入れるには、そこからさらに時間がかかりましたが、LGBTQ+であろうと、どんな人間でも、“幸せに自分らしく生きる権利があるんだ”、ということに、気付かされました。 だから僕も、自分らしく生きていこうと、この出来事がキッカケで、自分と向き合っていくようになりました。 LGBTQ+の僕たちも、同じ人間です。 他の人と違う扱いをされたくありません。 僕でさえ、このことを受け入れるまでに、時間がかかりました。 それと同じように、みなさんにとっても、時間がかかることだと思います。 日本では、あまりオープンにLGBTQ+について、話し合うことも少ないと思うので、さらに難しいことなのもわかっています。 僕自身も、今日カミングアウトをしたばかりなので、これからも、LGBTQ+について学ぶことが、たくさんあると思っています。 さまざまな固定観念によって、一人で抱え込み、悩んでいるLGBTQ+の方たちが、世界中にいます。 ハラスメント、イジメ、世間的なプレッシャーに苦しみ、それによって、精神的にダメージを受ける人も、決して少なくはありません。 僕がとある記事を読んで、得た情報なのですが、LGBTQ+と自認している方のうち、48パーセントは、自殺について考えたことがあり、さらに、そのうちの12パーセントは、実際にそれを行動に移していた、という統計を目にしました。 例えば、自分の性の対象が、同性や、どちらの性にも向いているというだけで命を絶つ必要があるのでしょうか。 理解されずに、自分のことを責め続けて、最終的に耐えられずに、追い込まれてしまう方が、これだけ多く存在するということを、一人でも多くの方に、知ってもらいたいです。 今日僕がこの発表をしたことに、驚いている方もいると思います。 受け止めるのも、難しいと思う方もいるでしょうし、受け止めるのに、時間がかかることも、理解しています。 今、たくさんの情報を、一度に発信しているので、それも当然のことだと思います。 母にカミングアウトをした時、幸い、母はすぐに僕のことを受け入れてくれました。 しかし、公にカミングアウトをしたいと話した時に、母は、僕がひどいバッシングを、受けるのではないかと心配し、反対されました。でも、時間がたつにつれ、母もLGBTQ+の課題について、一緒に考えてくれるようになり、僕が公にカミングアウトをすることにも、賛成してくれました。 僕のウェブサイトを見ていただくと、LGBTQ+に関するリンクが、いくつか貼ってあります。 これを機に、知らないところで苦しんでいて、助けを必要としている人たちがいるということを、多くの方に知ってもらいたいと思いました。 LGBTQ+の方たちの多くは、セクシュアリティーを理由に、イジメられたり、平等でない扱いを受けています。 でも、希望はあると思いますし、世界は変わってきていると思います。 何事も、ネガティブなことでも、みんなで力を合わせれば、ポジティブなことに変えていけると思います。 もし、この会場の中にも、自分のセクシュアリティーで悩んでいる方がいたら、僕のホームページをぜひご覧ください。 あなたは絶対に一人じゃない。 僕も、あなたのことを全力で応援します。 同じ悩みを抱えていた、一人の人間として、LGBTQ+の方々には、胸を張って、堂々と生きていってほしいです。 ただ、カミングアウトをするか、しないかは、個人の選択です。 もしも、カミングアウトをしたいと思っているならば、僕もそうしましたが、周りにサポートしてくれる方を見つけてからのほうが、心強いと思います。 今は誰もいないと思っていても、支えてくれる方は、“必ずいます”。 僕も今となっては、周りに応援してくれる人がたくさんいますが、それも長い時間をかけて、築き上げてきたものです。 僕もそれを踏まえた上で、今日、ここでカミングアウトをしています。 どんなセクシュアリティーだとしても、ゆっくり時間をかけて、まずは自分を大切にしてあげてください。 自分を愛することが一番です。 そして、もう一つわかっていただきたいのが、ゲイだからといって、これまでの自分が変わってしまうわけではない、ということです。 僕は、今の自分のままで幸せです。 これからも変わらず、與真司郎として、生きていきます。 そして最近僕は、アーティスト活動を再開することについて考えるようになりました。 AAAが活動休止になって、自分はソロアーティストとして、活動を続けていく意味はあるのかと、悩んだ時期もありました。 自分はアーティストとして、どんなメッセージを発信していけば良いのかが、わからなくなってしまったからです。 でも、LGBTQ+の課題にかかわらず、悩んでいる人を、一人でも多く救いたい、という気持ちがありました。 そして、ありのままの自分を打ち明けようと、決意したことによって、発信したいメッセージが明確になりました。 本来の自分を表現しながら、聴いてくれる人を幸せにするということが、僕のアーティストとしての一番の目標です。 そこで一つ、発表があります。 アーティスト活動を続けていこうと、決意したことによって、今回、新曲をレコーディングしました。タイトルは"Into The Light"です。 日本語では、「新たな光の指す方へ」と言う意味です。 世界中にこの曲が届いたらいいな、という思いを込めて、歌詞は全て英語になっていますが、日本語訳も考えました。 後ほど、ここに来てくれたみなさんにいち早く聞いていただきたいと思っています。 そして、この曲の売り上げの一部を、日本のLGBTQ+の支援団体に寄付します。 "Into the Light"を通して、僕の経験だけではなく、僕と同じ境遇に置かれている方についても、理解を深めるキッカケになってくれればうれしいです。 そして、LGBTQ+の方々に限らず、みなさん、一人一人の経験と重ねあわせて、聴いていただきたいと思っています。 音楽は世界共通です。 つらいトラウマを乗り越えた経験や、今実際、人生で葛藤している方々など、たくさんいると思いますが、僕がメンタルヘルスについて発信することで、世界のどこかで、勇気づけられる人がいてくれたら良いなと、心の底から思っています。 人生良い時もあれば、うまくいかない時もあります。 それでも、諦めずに進み続ければ、新たな光の指す方へと、導かれていくと思います。 僕も正直、この先どうなるのか、自分でもわかりません。 でも、一度きりの人生後悔したくないんです。 世界がもっと明るくなり、どんな人でも、生きやすい場所になってくれることを、本当に願っています。 そして、最後にもう一つ、大きな発表があります。 実は今、ハリウッドで、僕の人生についてのドキュメンタリーが、制作されているところです。 プロデューサーは、"グリーンブック"や"メリーに首ったけ"で知られる、ピーター・ファレリーと"タイガーキング"で知られる、フィッシャー・スティーブンスです。 2人とも、アカデミー賞などを受賞している、偉大な方々です。 彼らをはじめとした、ハリウッドで活躍してる方たちが、僕の人生経験や、これからやりたいと思っていることに、共感してくれました。 この機会に、感謝すると共に、自分ができることを精いっぱい、取り組みたいと思います。
■2005年にAAAとしてデビュー 現在はアメリカを拠点に活動
與さんは、2005年9月14日にAAAとしてデビュー。AAAは、2017年から3年連続で4大ドームツアーを開催するなど、人気を博しましたが、グループ活動15周年という節目である2020年にグループでの活動を休止することを発表しました。 AAAだけでなく、ソロアーティストとしても活動していた與さんは、2020年11月に「自分の人生経験をもっと積みたいという気持ちが強くなってきました」とし、AAAの活動休止に伴い、アーティスト活動を休止することを発表。現在は、アメリカ・ロサンゼルスを拠点としています。