パナソニックも東レもPBRが1倍割れで超安い…それでも内部留保たっぷり!アクティビスト垂涎の「最高の割安42銘柄」を一挙公開する!
「内部留保が多く」、「借金の少ない」銘柄をさがせ!
とはいえ、総資産の中に占める利益剰余金の比率は3割前後であり、その他の大多数は現金以外の資産か、負債が占めていることになる。つまり、大半の企業は買収して解散しても手元に負債が残る可能性が高く、少なくともPBRの観点からは買収する価値に乏しい。 ただし、中には、無借金に近い状態で経営を維持しつつ、内部留保を多くため込んでいる企業も存在するかもしれない。 そこで、純資産のうちで利益剰余金以外の項目は価値を算定できなくとも何らかの方法で換金・処分できるものとして、利益剰余金で負債を賄えるのかを数字で判断することにする。 具体的には、現状で利益剰余金が負債総額を上回っている状態であれば、買収をして負債を清算してなお手元に資金が残ることになるだろう。これを便宜上、「ネット利益剰余金」と呼ぶことにする。 図:ネット利益剰余金とは もちろん、負債には様々な形態や会計上にのみ表れる数字も存在するが、少なくとも利益剰余金が負債の総額を上回っていれば、数字上はざっくりとそれらすべてをカバーできると考えていいだろう。 では、このネット利益剰余金を用いて、具体的にどのように銘柄を選定していけばいいか。 ここからは会計・財務の厳密性は無視し、大まかにどういった視点で銘柄選択をすべきかを考えたい。
アクティビストが狙う「超割安株」の見分け方
まずは、買収して会社を解散した際の残余財産を得ることが目的ならば、当然ながら投資した金額つまり時価総額に対してネット利益剰余金が上回ることが大前提だ。 無論、現在の株価ですべての株を購入できるわけはなく、多額の資金で買い上げれば平均購入単価は大きく上昇するだろうが、株価の正確な予測は困難であるため、ここでは考慮せずにざっくりと時価総額を取得コストと仮定する。 一方、対価としてのネット利益剰余金の側については、それが全額懐に入るわけではない。会社を清算して残余財産を分配する際に避けられないのが、税金の問題である。 一般的に、残余財産の分配はみなし配当に位置づけられるため、税率20.42%がかかることを考慮しなければならない。そして、取得コストと、この税金考慮後のネット利益剰余金の比率を「解散価値倍率」とする。 ちなみに、各企業のすべての株式が市場に出回っているわけではない。 オーナーや金融機関などが株式を握っていたり、その企業自身が自社株を多く保有していたりすれば、一定の割合が市場に流通していない場合もある。その際、取得コストは浮動株比率を乗じた流通時価総額として計算する必要があるが、対価としてのネット利益剰余金もその取得比率に応じた按分となり相殺されるため、計算上は無視して問題ない。 しかし、この市中に出回っている株式の割合を表す浮動株比率は、違った観点で重要な意味を持つ。なぜなら、仮に会社を買収してその後に解散する場合は、株主総会に出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成票が必要となるからだ。つまり、発行済み株式数の3分の2以上を保有できなければ、直ちに解散して目的を達成することができない可能性が高くなるため、取得する意味がない。 そこで、浮動株比率が67%未満の企業は選定の対象外とする必要がある。 また、銀行やメディアについても、様々な法規制から事前に政府や監督機関の承認が必要であったり、買収後の業務に制約があったりと自由度が低いため、対象から除外すべきだろう。 これまでの条件をまとめると、以下の図のようになる。 図:解散価値倍率による銘柄選択
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