【アーリントンC回顧】マイラーとして開花したディスペランツァ 中距離っぽいレース質に適性あり
本番で楽しみなチャンネルトンネル
2着は15番人気単勝176倍のアレンジャーが入り、波乱を演出した。ディスペランツァとは正反対で、マイル付近を使いながら前走で1200mに距離を縮め、浮上のきっかけをつかみ、再び距離を延ばしてきた。前走1200m出走という時点で評価されなかったのは仕方ない。だが、マイルに適性なしと判断するのは早かったか。1200mを走った直後とあって自然な形で先行できた。横山典弘騎手が巧みな重心移動でなだめ、我慢させたことも大きい。とはいえ、超スローの恩恵があったのは事実。今後はもう少し速い流れでも踏ん張れる粘っこさがでれば、おもしろい。 3着チャンネルトンネルはスプリングS4着で皐月賞の出走権を逃した直後に福永祐一厩舎へ転厩し、マイル戦に戻してきた。中距離を経験したため、緩い流れでも折り合いはスムーズにつき、4コーナー出口の立ち回りもきれいだった。今回は瞬発力の差が出たといった感じか。ここまで上がり勝負にならなければマイル戦でもやれる。待望のGⅠ出走権をつかんだ。案外、本番で楽しみなのはこの馬かもしれない。 冒頭で書いた通り超スローペースだったため、3番人気9着シヴァースなど窮屈な馬群で力を出し切れなかった馬たちも多く、負けた馬も次走に向けて改めて見直したいレースだった。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
勝木淳