宮崎宣子さん(44)「日テレ退社後起業、経験不足でだまされました」|VERY
──VERY読者には結婚と仕事の両立に苦戦している人も多いです。大企業を退社して、後悔したことはありましたか? それが、意外とまったくないんですよ(笑)。入社したときは一生お世話になって、定年になったらシニア契約までしてもらいたいと思っていたんですけれどね。会社にいれば食いっぱぐれないという気持ちはなかったわけではありませんが、この先、局アナとして仕事を続けている未来がまったく思い描けなくなっていたので、次の目標を探すことに必死で振り返っている余裕は皆無でした。
「ハーブで誰かの役に立ちたい」と38歳で起業
──その後、38歳でオーガニックハーブによるボディケアブランド「EMARA(エマラ)」を立ち上げることに。どういう経緯で起業に至ったんですか? プライベートでは一生続くと思っていた結婚生活が終わったタイミングでした。仕事では誰かのために一生情熱を注ぐことができる目標を見つけたい、という思いが強くなっていきました。実は、局アナ時代に朝番組を担当したとき、生活サイクルが朝晩ひっくり返って自律神経失調症になったことがありました。睡眠薬や精神安定剤を飲みなんとか仕事を続けていたのですが、ドクターストップで降板することに。薬の副作用による眩暈や吐き気、頭痛にも悩まされていたころ、「ハーブティーでも飲んでみては?」と医者に勧められたことを思い出しました。「ハーブティーなんて美意識が高い女性だけが飲むようなお茶でしょ?」と半信半疑で飲み始めたのですが、私の体には合ったのか、その後半年間全く薬に頼ることなく回復しました。その経験が強烈だったので、「ハーブの持つ自然の薬効を使って誰かの役に立つ仕事がしたい」という思いが芽生えました。それからハーブにまつわるいろいろな資格を取得し、オーガニック大国のドイツや北イタリアのハーブ園へ取材に行きました。その後、地元の宮崎県で3年間ハーブ園を運営し、ハーブを生活に取り入れられる製品を作りはじめました。 ハーブに対する知識も情熱も有り余っていたので製品作りにのめり込み、「ものすごい製品ができた!」と自画自賛。ところが、いい製品を作ったら勝手に売れるものだと思っていたのですが、売り方もマーケティングも何もわからないまま見切り発車でスタートしたので経営はなかなかうまくいかず。38歳で起業したのですが、知識も経験もないとナメられていたのか、ありとあらゆる人に騙されました(笑)。「タレントがプロデュースしているだけでしょ」「ビジネスってこういうものだから」という態度で本来払う必要のない請求書が送られてきたり。その後、ようやく販売まで漕ぎ着けたら今度は世の中がコロナ禍となり、社会全体がクローズ状態に。在庫を抱えてしまったため、ECサイトを作って仕切り直そうとしたら、その過程でもトラブルがあって、サイトを何度も作り直すことに。「会社は3年目までは赤字でもいいけれど、4年目からは黒字にしていかないと先が見えない、と言われているのに……」とさすがに焦り、経営者としての未熟さを痛感して、今さらながらMBA取得のため早稲田大学の大学院に入学しました。
<PROFILE> ■宮崎宣子(みやざき・のぶこ) フリーアナウンサー。1979年生まれ、宮崎県出身。2012年に日本テレビを退社後、フリーアナウンサーとして活躍。現在、早稲田大学大学院経営管理研究科に在学中。オーガニックハーブによるボディケアブランド「EMARA(エマラ)」代表として、経営者とハーバルセラピストの顔ももつ。 2021年に再婚し、昨年10月に第1子を出産。(@miyazaki_nobuko) 撮影/秋山博紀 ヘア・メーク/高良まどか 取材・文/亀井ゆりこ