「名古屋グランパスが好きなので」森下龍矢が貫いた愛と海外挑戦の理由。日本代表選外で「突き詰め続けた」課題
●サッカー日本代表で感じた悔しさ サッカー日本代表は2024年1月1日、TOYO TIRES CUP 2024でタイ代表と対戦する。前日の取材対応の大トリを務めた森下龍矢は、レギア・ワルシャワ(ポーランド)に期限付き移籍することが決まっている。古巣になる名古屋グランパスへの思いを口にしつつ、海外挑戦の理由にも触れた。 【画像】サッカー日本代表、タイ代表戦予想フォーメーションはこちら
元日に行われるタイ代表戦は、森下にとって名古屋を背負って戦う最後の試合になる。前回招集された9月のドイツ遠征では出番がなく「悔しい気持ちだった」というが、タイ代表戦に向けて「どれだけ成長しているか、もう1回自分をテストしたい」と意気込む。 森下をこの3年間に渡って成長させてきたのが、名古屋グランパスという環境だ。サガン鳥栖で2020シーズンにプロキャリアをスタートさせ、翌年に名古屋に移籍。「なかなかうまくいかなかった」と振り返る1年目はリーグ戦22試合に出場したものの、先発出場はわずか8試合だった。そこから翌2021シーズンは先発28試合、今季も同30試合と不動の地位を築き上げた。 6月には日本代表に初選出され、エルサルバドル代表戦でデビューも、9月は出場機会がなく、10月、11月と選外になった。「『なんで選ばれなかったんだ』というのは思わなかった。グランパスで自分が納得のいくプレーがあまりできていなかったので、外されるのは当たり前だった。だから、どれだけグランパスでいいプレーができるかというのを突き詰め続けた10月、11月だったと思います」。自分自身に矢印を向けて課題克服に取り組んだ先に、日本代表復帰というチャンスが回ってきた。 ●「夏にチャレンジすることもできたけど…」 これまでも海外移籍するチャンスがあったかもしれないが、Jリーグのシーズンが終了したこのタイミングで移籍に踏み切った。「夏にチャレンジすることもできたけど、グランパスが好きなので」と残留を理由を明かし、「1年間優勝するために頑張ろうとやってきて、(そのストーリーを)途中で破棄する作家はいない。最後まで自分で書ききりたかったし、最後の結果を見たかった」とクラブへの思いの丈を述べた。 そのうえで、「ヨーロッパでプレーしたい」という森下の夢も捨てることはできなかった。「レギア・ワルシャワというのは僕に合う本当に熱いチーム。物理的に火事を起こすくらいだから(笑)。それくらい熱いチームで認めてもらえれば、相当な元気印になれると思うので、そのポジションを狙っていきたい」と意気込んだ。 虎視眈々と狙うのは日本代表でも同じだ。「人を活かすのは大事な能力だと思うんですけど、あまり僕は得意じゃない」と自身を客観的に分析する森下は、「本当に分かりやすいプレースタイルなので、それを思い切り出せばみんなに理解してもらえるんじゃないかな」と考える。球際の強さや上下動する運動量を、チームのために惜しみなく披露する心構えでタイ代表戦に臨む。 タイ代表戦はその後のアジアカップ、そしてポーランドでのキャリアにも続く重要な一戦になる。ただ、森下は冷静だ。「気負わず、自分がやってきたこと、(今まで)代表でうまくできなかったことをどれだけピッチ上で納得できるものにできるかだけを考えてプレーしたい」と自分のすべきことにフォーカスして臨む。 (取材:元川悦子、構成:編集部)
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