「歌うおまわりさん」ラストステージへ 来月25日、県警音楽隊楽長・奥山巡査部長
長らく県警音楽隊で楽長を務めてきた、奥山智義巡査部長(65)が本年度で再任用期間を終え、退職する。国立音楽大(東京)で声楽を学んだ経歴を持ち、音楽隊の演奏会でも歌声を披露。「歌うおまわりさん」として親しまれてきた。定期演奏会は来月25日が最後となる。ラストステージを前に「平常心で臨み、いい演奏にしたい」と意気込みを語った。 奥山巡査部長は大学卒業後、いったんは埼玉県内の小、中学校で音楽の講師を務めた。27歳で帰郷後、父親が県警職員だったこともあり、1987(昭和62)年に県警の警察官を拝命した。鉄道警察隊での勤務が長く、再任用後の現在も同隊で勤務しながら、音楽隊の楽長として指揮棒を振る。2014年度には「県民の警察官」(山形新聞、山形放送主催)にも選ばれた。 音楽隊の兼務は警察学校を卒業してすぐだった。打楽器を長く担当する一方、ステージでバリトンボイスを披露するようになった。11年から楽長を務める。隊員は奥山巡査部長と同様に全員兼務で、中には楽器未経験者もいる。庄司優輔巡査長(24)もその一人。不安を感じていることを奥山巡査部長に伝えたところ、個人練習に付き添い、指導してくれたといい、「(楽長でも)話しやすく、優しい」と話す。30年以上、ともに活動してきた小島幹雄巡査部長(52)は「とにかく優しく、みんなを包み込んでくれる」と奥山巡査部長の人柄が隊員をまとめていると評する。
防犯や交通安全など各種広報とともに、県民に県警への親しみやすさを感じてもらうことが、音楽隊の使命の一つ。最後の定期演奏会に向け、奥山巡査部長は「いい演奏を聞いてもらうのはもちろん、県警の音楽隊の良さを知ってもらい、身近に感じてほしい」と話す。最後まで県警と県民をつなぐ“音の架け橋”としての役割を全うする決意を語った。 県警音楽隊第42回定期演奏会は、来年1月25日、山形市のやまぎん県民ホールで。午後1時半開演で入場無料。2部構成で、奥山巡査部長による歌声の披露も。問い合わせは県警広報相談課023(626)0110。