長期金利、初のマイナス!? そもそも長期金利ってどうやって決まるの?
9日に長期金利が初のマイナスになりました。これはニュースでも大きく取り上げられるなど、関心の高さが伺えます。 ところでこの長期金利とは、いったい何のことなのでしょうか。 長期金利とは、長い期間の金利の指標なのですが、具体的には債券市場で売買される国債のなかで、10年物の国債の直近に入札されたばかりの銘柄(カレントと呼ばれます)の利回りのことを指します。 現物国債は店頭取引が中心であるため、個々の取引の際の利回り(債券は通常、利回りで売買します)は、わからないようになっています。ところが業者と呼ばれる証券会社などは顧客と取引した国債のポジション調整を行うために、日本相互証券という証券会社を通じて業者間で売買をしています。その取引画面は各証券会社で確認できることでオープンなものになっています、この日本相互証券で取引される10年国債カレントの利回りが日本の長期金利と呼ばれているものなのです。
スイスに次いで、長期金利マイナス化を達成
海外でも現在では、長期金利は一番新しい10年物の国債の利回りとなっているところがほとんどです。その長期金利が日本で初めてマイナスとなってしまいました。長期金利がマイナスとなった国としては、スイスがあります。日本はスイスに次いで長期金利のマイナス化を達成してしまったのです。 どうして長期金利までもがマイナスとなってしまったのでしょうか。これは1月29日に日本銀行が追加緩和策として、マイナス金利付き量的・質的緩和を導入したことが大きな要因となっています。スイスも同様に中央銀行が政策金利の一部をマイナスにしたことで長期金利がマイナスとなったのです。ただし、やはりマイナス金利を導入しているユーロ圏ではその指標となっているドイツの長期金利はまだプラスの状態です。
なぜユーロ圏よりも早く長期金利がマイナスに?
それではなぜ、日本の長期金利がすでにマイナス金利を導入していたユーロ圏よりも、早く長期金利のマイナス化を達成してしまったのでしょうか。 日銀はマイナス金利の導入により、足元の短い金利をマイナスにして、イールドカーブと呼ばれる短い期間から長い期間の利回りを結んだ曲線全体を低下させようとしました。ただし、日銀がマイナス金利を導入する以前から5年債あたりまでの金利がすでにマイナスになっていました。日銀のマイナス金利政策の導入でマイナス金利が8年、9年と伸び、ここに欧米市場でのリスク回避の動きをきっかとした9日の東京市場での円高株安の動きも影響して、10年債の利回りまでマイナス化してしまったのです。 ユーロ圏との違いは日銀が大量に国債を買い入れていることで、国債の需給がタイトとなっていることや、日本がかなり金余り状態となっており金利が低下しやすい状態になっていたことがあります。ここにあらたなマイナス金利政策という材料が出たことで、予想以上のピッチで金利の低下が引き起こされたのです。