佐藤寛太、『不死身ラヴァーズ』で素を暴かれる「こんなに恥ずかしかったのは初めて」
松居大悟監督が10年以上温め続けてきたというラブストーリー『不死身ラヴァーズ』が完成した。高木ユーナの同名コミックを映画化したこの作品の主人公は、幼い頃に出会った運命の相手、“甲野じゅん”のことを忘れられずにいる“長谷部りの”。彼女が告白して両思いになるとじゅんは消えるのだが、何度も別人になってまた現れるーー。佐藤寛太は松居監督の下で、あらゆる世代のじゅんを演じている。佐藤が監督のSNSにDMを送ってアプローチしたことが、今回のキャスティングへと繋がったという。憧れの監督とともに過ごした日々のこと、完成作を観て抱いた思いについて聞いた。 【全ての写真】佐藤寛太の撮り下ろしカット(全13枚)
見上愛さんが動いて初めて現場に風が吹くような感覚 毎日ウキウキしながら現場に行っていました
――こんなにも「好き」を伝えられる役は、なかなかないですよね。 佐藤 本当にそう思います。ありがとうございます!っていう感じで毎日ウキウキしながら現場に行っていました。全シーンを通して、長谷部さんがどう動くかによってもちろんこっち側も変わってくるわけじゃないですか。だから自分がどう演じたいのかってことは、そんなに考えていなくて。同じ日を繰り返すようなシーンでも彼女の雰囲気や言葉、発せられるものすべてを自分がきちんと受け取ろうと思っていたんです。それを受けた俺がどうするかによって長谷部さんの動きも変わると思うので、うまく呼吸のようになったらいいなと思っていました。 ――見上愛さんと共演した印象についても教えてください。 佐藤 最初に俺と会ったとき「この人、無理なタイプかも」と思ったらしいです。結構それ、言われるんですよ(笑)。自分では普通にしゃべっているつもりなのに、わーっときている感じに思われるみたいで。今回の役で言ったら、バーベキューをしている大学生のじゅんとリンクした感じなんでしょうね。じゃあ、「普段の俺って嫌われる雰囲気なの!?」ってことになりますけど(笑)。 ――プレス資料のインタビューには「私が今まで会った人のベスト3に入るぐらい面白い方でした」と書かれていますよ。 佐藤 え、すごくないですか! めっちゃ褒めてるじゃないですか! 嬉しいです(笑)。俺はいつもどおり話していただけなんですけどね。 長谷部って疾走感があって花の香りがするような女の子だけどスーパーウーマンじゃなくて、自己嫌悪だったり人に見せたくない気持ちも見え隠れするキャラクターだと思うんです。だからこそ長谷部の笑顔に射抜かれるし、「この子って本当は一体どんな子なんだろう?」って思ってしまうというか。 松居さんがオーディションで見上さんに会ったとき、「なぜそういう芝居をするんだろう」と思ったそうなんです。俺も同じで、シンプルに人として今どう思ってるんだろうなってことがすごく気になる人だったから、一緒にいて超楽しかったです。彼女が動いて初めて現場に風が動くみたいな感覚もあって、才能のある若い方と共演するとこんなにも勉強になるんだなと思いました。 ――『正欲』で東野絢香さんと共演したときにも、そうおっしゃっていましたね。 佐藤 自分だったらピリピリしたりトゲトゲしないとできなさそうなことを、彼女たちは軽々とやっているように見えました。俺なんか一生懸命やってやっとここですよってことを、サラッとやっていて。そういうお芝居を目の前で見ると、頑張ってますよ!って見せることはダサいし、尖っている必要はないなと思うようになりました。今は仕事に対しての捉え方が少し変わって、そのときに求められることやできることをやっていこうという風に思っています。