中国でさえFRBと争わず-利下げ避け「強大」な人民元に腐心
(ブルームバーグ): 中国は米国との貿易戦争で、最新スマートフォーン用半導体規制や対イラン石油制裁など米国が課すあらゆる種類の制約を回避する方法を見いだしてきた。
しかし、米連邦準備制度理事会(FRB)の引力から逃れるのは容易ではない。
エコノミストらは、中国が今週発表した経済指標から2点を学んだ。第一は今年の中国は健全な成長ペースで始まったが、さらなる刺激策が必要になるだろうということ。
中国GDP、1~3月は予想上回る-単月データ弱く支援増必要か
もう一つは、中国人民銀行(中央銀行)が金利の引き下げを通じて景気刺激を実施するのは難しそうだということだ。
というのも、中国がデフレと闘っているにもかかわらず、米国で物価高が続き、FRBの利下げはますます先送りされ、中国の10年国債に対する米10年国債の利回り上乗せ幅(プレミアム)が記録的な大きさとなっているためだ。
中国が利下げを行えば、この差をさらに拡大させ、中国が防衛に努める人民元相場への圧迫を強めることになる。
BCAリサーチの新興国市場・中国投資担当チーフストラテジスト、アーサー・ブダギャン氏は、「政府は現在、為替レートの安定をより重視している」と述べ、景気回復に求められる金融政策緩和よりずっと小幅な緩和しかできないことがリスクとの認識を示した。
「金融強国」
モルガン・スタンレーのエコノミストは今週、アジア全般で多くの中銀が今年のより遅い時期まで利下げを先送りせざるを得なくなるとの見通しを示した。
中国では消費者物価の上昇率がゼロに近く、生産者物価は1年半にわたり下落が続いている。昨年8月に中期貸出制度(MLF)の1年物金利を2.5%に引き下げた人民銀だが、その後は据え置きを続けている。
中国人民銀、MLFで2カ月連続資金吸収-1年物金利据え置き
中国は昨年から通貨防衛を以前よりも優先。共産党の最高指導部は「基本的に安定した」人民元を維持すると昨年7月の党中央政治局会議で表明し、習近平総書記(国家主席)は今年1月、中国が「金融強国」になるためには「強大」な通貨が必要だと強調した。