カップヌードルから誕生の「謎肉」、健康志向の逆行く人気
(ブルームバーグ): 日清食品ホールディングス(HD)傘下の日清食品が販売する即席麺「カップヌードル」で人気具材の「謎肉」が商品化され、当初期待した以上の反響が消費者から上がっている。会社側がうれしい悲鳴を上げる背景には、同社のみならず謎肉ファンがインターネットなどに投稿するアレンジレシピの多さもあるようだ。
正式には「味付豚ミンチ」というが、一般消費者から謎肉と呼ばれることで「謎肉放題」として3月に売り出したところ、主役のカップヌードルと並ぶ人気商品になった。同社のオンラインショップでは発売から約3時間で600食が売れ、約1カ月後には多くのスーパーマーケットで売り切れたという。
日清食品マーケティング部の河野友宏氏は、「話題になるかなとは思っていたが、想定を上回る話題提供だった」と話す。実は謎肉の具材は同社ウェブサイトに「豚肉と大豆由来の原料に野菜などを混ぜてミンチ状にし、フリーズドライ加工したもの」と説明がある。1971年に開発されたカップヌードルから新商品が生まれたきっかけは顧客からの声だった。
日清食品が新たなトレンドを取り込むことは、他社も含めて日々さまざまな選択肢が提供される市場において、現状の地位を維持するための手段でもある。
カップヌードル47個分に相当する200グラム入りで650円と手ごろなことも人気化に一役買っている。箱の裏面には、謎肉キムチ丼、謎肉バーガー、ピーマンの謎肉詰めなどのレシピが載っている。また、個人ページにもおすすめレシピがさまざま載せられている。
スーパーの売り場では、カップヌードルの隣に陳列して消費者が手に取りやすいよう工夫もなされる。河野氏は「1番の狙いはカップヌードルを食べてほしいこと」だという。価格が手軽なことから世界中で販売される即席麺は2032年に908億ドル(約14兆円)と、10年でほぼ2倍に成長するとの予測もある。
一方、ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、エイダ・リー氏は、健康志向の高まりがリスクの一つになると指摘する。謎肉放題は1箱1200キロカロリー超。ほかにも考えられるリスクはある。ニッチを攻める、中小企業との熾烈(しれつ)な競争にさらされるだけでなく、食品宅配サービスや調理済み食品ともシェア争いをしなくてはならない。