海外資本が続々と進出し…北海道・釧路湿原が「メガソーラー」に侵食されている”衝撃現場写真”
北海道東部にある釧路湿原国立公園。’80年に湿地の保全を目指す『ラムサール条約』に日本で初めて登録され、希少な野生生物が生息することで有名だ。この大自然の宝庫と言うべき湿原が今、メガソーラーに侵食されている。 【写真をみる】《全貌写真をスクープ入手!》恐ろしい…!体重300kg超えの最凶巨大ヒグマ「OSO18」の″最期″ 「釧路市と釧路町のメガソーラーは10年ほど前は1ヵ所でしたが、現在は27ヵ所に増えて最大規模は約210万㎡(東京ドーム45個分)になります。欧米やアジアの外国資本も続々と進出し、400万㎡(同86個分)ものソーラー計画もある。今年度に釧路市に照会のあった計画地のうち、絶滅危惧種キタサンショウウオの生息適地と重なる場所は約1000万㎡(同214個)にのぼります」(釧路市職員) 釧路湿原の保全のために土地の取得と自主管理を行うNPO法人『トラストサルン釧路』の黒澤信道理事長は、メガソーラー業者から狙い撃ちにされている理由をこう説明する。 「釧路湿原は日照時間が長く、平らな土地が多いためソーラーパネルを設置しやすいんです。国立公園と接する市街化調整区域は街にも近く、送電網が整備されているのでとくに狙われています。私たちも構成員となっている『釧路湿原自然再生協議会』は昨年4月、釧路市長に立地制限などを求める提言書を提出しました。強制力のある条例を早く作らないと、乱開発は止められないでしょう」 市では提言書をもとに昨年7月から届出制を導入し、ソーラーパネルの設置が適当でないエリアの明示や設置者の遵守事項を設けた。だが半年経った今でも守られず、トラブルが続出。昨年12月には約330万㎡の広大な土地で設置を進める東京の事業者が、無断で保安林を掘削して処分を受けた。さらに、外国人作業員を巡る問題も噴出している。釧路市で民宿を経営する、加納真由美さんが話す。 「工事のために中国人の作業員がしばらく民宿を借り切っていたのですが、料金を払わず逃げてしまったんです。なんとか関連会社から取り立てることができましたが、一時は訴訟も覚悟しました」 設置事業者はどう考えているのか。釧路最大の『すずらん釧路町太陽光発電所』を運営する東急不動産の回答だ。 「希少種の保護のため、行動時期や経路を考慮した工事計画を組みました。開発影響についても環境省やNPO法人の依頼で生態調査を実施しました」(広報室) 湿原の自然が一度失われれば、回復には長い時間を要する。手遅れになる前に、厳格に規制する必要があるだろう。 『FRIDAY』2024年2月16日号より 取材・撮影:形山昌由(ジャーナリスト)
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