<センバツここに注目>星稜・マーガード真偉輝キアン 先輩の帽子に「克己心」 選抜高校野球
3月18日に開幕する第94回選抜高校野球大会。球春到来の舞台で、活躍が期待される投打の注目選手を担当記者が紹介します。10回目は星稜(石川)のマーガード真偉輝(まいき)キアン投手(2年)。無念のうちに高校野球を終えた先輩の思いを受け継ぎ、甲子園のマウンドに立ちます。 【過去には小芝風花さんも】センバツ応援イメージキャラクター ◇本格派にモデルチェンジ 大器と呼ぶにふさわしい右腕だ。米国出身の父を持ち、186センチ、90キロと体格に恵まれた。昨秋は北信越大会4試合全てに登板し、2完投と準優勝に貢献。直球は最速141キロながら、指先の感覚で曲がり幅を変える2種類のカットボールで打たせて取った。 「下級生のころはやみくもに力いっぱい投げていた」と林和成監督(46)は言う。力んで制球に苦しみ、ストライクを取りにいった球を痛打された。ふがいない投球にマウンドでいらだった。 成長を後押ししたのはエースの自覚だ。2番手投手だった昨夏、複数部員の新型コロナウイルス感染が判明。チームは石川大会を準々決勝で辞退した。失意の中で、先輩の前エース・野口練から「お前が頑張っていけ」と思いを託された。「苦しい時にチームを助けるのが本当のエース。自分がこのチームを引っ張っていく」 昨夏以降、苦手な走り込みで自分を追い込み、投球フォームも試行錯誤して制球を安定させた。ひょうひょうと投げていた野口を見習い、マウンドでの振る舞いも改めた。 この冬は体格を生かした本格派への転換を目指し、体作りに励む。「秋は自信がなかった」という直球の威力と精度が向上し「良い感覚がある」と語る。 センバツでは野口から託された「克己心」と書かれた帽子をかぶり、マウンドに立つ。「どんな時も大崩れせず、試合を作りたい」。それが星稜の「背番号1」の誇りだ。【石川裕士】 ◇まーがーど・まいききあん 沖縄県出身。中学では硬式の宜野湾ポニーズに所属し、U15(15歳以下)日本代表。テレビで見た星稜の明るい雰囲気に憧れて進学した。趣味はバスケットボール。右投げ右打ち。 <次回は20日朝、大阪桐蔭の松尾汐恩捕手(2年)を公開する予定です>