専門家「誰も気づかないというのが不思議」苫小牧沖フェリー座礁「がががが…音と同時に揺れ」
STVニュース北海道
(北本アナウンサー)「ようやく苫小牧西港にフェリーが着岸しました。先端部分は黒ずんでいることが分かります。数多くのへこみや傷があります」 座礁していたフェリーは2024年7月2日午後0時半ごろに苫小牧西港に到着しました。 フェリーターミナルには、乗客の無事に安堵する家族の姿が見られました。 (乗客)「ガガガガガっていう音と揺れが同時にきた感じで。同じ部屋の立っていた人はよろけて棚につかまって、しばらく続いて」 (乗客)「飛び起きている人もいたりして、最初はみなさん不安そうにしていました。とりあえず誰もけがなくみんな着くことができたので安心しています」 (吉田カメラマン)「苫小牧西港の入口付近でフェリーが消波ブロックに乗り上げています」 消波ブロックに突っ込んだフェリー。 デッキには乗客の姿も。 2日午前1時すぎ、八戸発ー苫小牧行きのフェリー「シルバーブリーズ」が、苫小牧西港の消波ブロックに時速およそ18.5キロで衝突しました。 フェリーは1日午後5時半ごろに青森県の八戸港を出発。 その後、点線の航路を通って午前1時半ごろに苫小牧西港のフェリーターミナルに到着する予定でした。 しかし、航路を外れて、午前1時すぎに消波ブロックに衝突しました。 フェリーに乗っていた男性は衝撃を感じたといいます。 (乗客)「少し大きめの地震くらいの衝撃があって、ドドドというように何回か揺れて、その後、船がとまったように感じた」 午前2時ごろに撮影された映像には、船の外の状況を確認する乗客の姿が。 乗員乗客140人は、衝突から10時間以上降りられない状態が続きました。 (乗客)「落ち着かなくてうろうろ歩いていた。あまり寝てはいないです。ずっと起きていました。朝食にカレーライス、昼食にカップラーメンが提供されました」 (長岡記者)「いまフェリーが動き始めました。タグボートによるえい航が始まったようです」 そして午前11時40分ごろ、タグボート4隻によるえい航が開始されました。 (松田カメラマン)「シルバーブリーズが苫小牧西港に入ってきました」 船首にはへこみや多数の傷が確認できますが、浸水や油漏れはなく、けがや体調不良を訴える人もいないということです。 その後、座礁したフェリーはフェリーターミナルから近くのふ頭に移動。 運輸安全委員会は3日に調査官を現地に派遣し、原因の調査をするということです。 専門家は、一般的な船の場合、到着間際の事故は珍しいと指摘します。 (神戸大学 若林伸和教授)「(入港時は)ほとんど全ての運航に関わる乗組員が持ち場につくことになっている。誰も気づかないというのが不思議なので、なぜ誰も気づかなかったのかを明らかにしていく必要がある」 重大な人的被害につながりかねない今回の座礁。 早急な原因の解明と再発防止が求められます。