クルド人排斥デモ禁止 地裁仮処分 協会評価/埼玉県
在日クルド人らでつくる「日本クルド文化協会」はヘイトスピーチに当たるデモで名誉を傷つけられたとして今後、実施しないよう求めた仮処分申し立てで、さいたま地裁は21日デモを呼びかけた男性に対し、協会の事務所周辺でのデモを禁止する決定をしました。 協会と弁護団が22日、記者会見を開き「ヘイト行動に法的歯止めをかけられる」と評価しました。 この決定を受け、一般社団法人日本クルド文化協会代表理事ワックス チカンさん「私たちは長い間、大きなプレッシャーや不安を抱えながらも希望を失わずにきょうまで歩んできました。この裁判所の決定は私たちにとって大きな一歩であり、未来への希望をつなぐものです」 弁護団によりますと、神奈川県の団体代表の男性らはことし2月以降、協会事務所の周辺で「自爆テロを支援するクルド文化協会は日本にいらない」とする横断幕を掲げたり、拡声器でクルド人排斥を訴えたりするデモを複数回実施しました。 11月24日にもデモが計画されていたことから、協会は禁止を求める仮処分をさいたま地裁に申し立てました。 さいたま地裁は21日、協会事務所から半径600メートル内でのデモを禁止する決定をしました。 裁判所がクルド人へのデモを禁じたのは今回が初めてです。 協会側代理人の金英功弁護士は「野放しだったヘイト行動に法的歯止めをかけられる」と今回の決定を評価しました。 その上で、今後の課題を「包括的、網羅的にヘイトデモを規制するには、県、市町村における差別撤廃条例が必要と考える」などと述べました。