阿部の一塁転向はGのアキレス腱か?
2015年のスローガンを「新成」と名づけた巨人の象徴が、阿部慎之助(38)の一塁コンバートだろう。 故障を抱え昨季は、打率.248、19本塁打、57打点と打撃不振に陥った阿部を再生させるため守備の重労働から解放させようと原監督が決断したもの。 阿部も、そのコンバート案を受け入れて、すでに昨秋キャンプから始動。12日に行われたキャンプ初の紅白戦では、白組に「4番・一塁」で入って、2打数0安打、1四球の結果に終わった。この時期の結果は、問題ではなく、むしろ、体を絞っている効果からか、軽快にこなした守備機会を評価すべきで、本人も「ボールが見えている」とコメントを残した。 阿部が抜けた要のポジションには、2年目の小林誠司(26)一人では不安が残るため、ヤクルトからFAで38歳の相川亮二を補強。「一塁・阿部」のリスクがチームに出ないように手は打った。さっそく、この紅白では8番に入って2の2の2打点。原監督を「お見事」と、うならせたが、このコンバートを巨人のアキレス腱だと見る声も少なくない。
元ロッテの里崎智也氏も「阿部・一塁」の持つ不安要素を指摘する一人だ。 「キャッチャーという重労働から解放されて阿部選手のバッティングの数字は上がるでしょうが、僕はキャッチャー阿部選手の不在と、打線に及ぶマイナス材料の方が大きいのではないかと考えているんです。 阿部選手は、相手打線、自分のところのピッチャーの出来だけでなく、味方打線と、相手投手のマッチアップなど、試合の流れを読みながらリードとゲームマネジメントができるキャッチャーです。例えば、『今日は、まだ点をやっても構わない』ということを考えてリードしますから、ピッチャーに余裕を与えます。 おそらく2年目の小林選手は、その場、その場の勝負で精一杯でしょう。相川選手は、そういうトータルマネジメントのできるベテランですが、巨人というプレッシャーの中で、どこまでできるかが未知数です。そして打線に大きな不安材料を与えます。キャッチャー・阿部なら一塁に外国人選手を使えましたが、一塁・阿部だと、それが無理になって打線が寸断されます」 里崎氏が指摘する打線の不安とは、こういうことだ。 阿部がキャッチャーならば、一塁にアンダーソンを起用できるが、阿部が一塁に入ると、8番・小林(相川)、9番・ピッチャーという相手バッテリーからすれば、2つのアウトを計算できるイニングが生まれることになる。どれだけ阿部のバットが再生しようと、そこに死角があるという見方だ。