株で稼いでる人は知っている「株の買い時、売り時」
個人投資家の間で大きな支持を集めるベストセラー『株トレ 世界一楽しい「一問一答」株の教科書』、待望の続編『株トレ ファンダメンタルズ編』が発売された。「この株は売り? それとも買い?」「どっちの株を買う?」投資シミュレーションの感覚でクイズを解くうちに株の知識が自然と身につく1冊だ。前作ではチャート分析がテーマだったが、今作では業績や財務の読み方をわかりやすく解説する。著者は、ファンドマネジャー歴25年、2,000億円超を運用してTOPIXを大幅に上回る好実績をあげたスペシャリストの窪田真之氏。本稿では本書から特別に一部を抜粋して紹介する。 【この記事の画像を見る】 ● 『株トレ』のクイズに挑戦! 株価1,000円の上場企業G社に対して、X社より、1株当たり1,400円でTOB(株式公開買付け)を実施すると発表がありました。 発表のあった翌日以降、株価はどのように推移するでしょうか? 次の①、②のうち可能性が高いのはどっち? ① 株価1,200円まで上昇して売買成立。その後1,200~1,250円で推移。 ② 株価1,300円まで上昇してストップ高買い気配(売買成立せず)。翌日1,380円で売買成立。その後1,380円~1,400円で推移。 ● TOB(株式公開買付け)とは TOBは企業を買収する手段の一つ。経営権取得のために、買付け価格や株数、期間を公告し、市場外で不特定多数の株主から大量に株を買付ける。
正解:②TOB価格の近くまで株価は上昇する ● TOB成立はほぼ確実 TOBに応募する株式数が、下限3,400万株に満たないことはないと考えられます。2つ理由があります。 (1)買付け価格は、直前の株価に40%ものプレミアムを付けている。 (2)友好的TOBで、G社経営陣も賛同を表明している。 TOB成立がほぼ確実で、TOBに応募すれば1株1,400円で買い取ってもらえるG社株を、それより大幅に安い株価で売る株主はいません。 株価が1,400円近くに上昇するまで売り手がいないので、売買は成立しません。 株価が1,400円に近づいてから、やっと売買が成立することになります。 ● TOB価格より少しだけ下の1,380円で売る株主はいる TOBに応募すれば1,400円で買い取ってもらえますが、それには時間がかかります。 何らかの事情ですぐに売却代金を取得したい株主は、1,400円より少し下の株価でも売るかもしれません。 また、TOB成立はほぼ確実ですが、応募が少なくてTOBが不成立となる万一のケースに備えて、早めに売りたい株主もいるかもしれません。 ● TOB実施義務 金融商品取引法では、一定の大規模な株式の買い集め行為に対して、TOB実施を義務付けています。 市場外取引によって、発行済み株式総数の5%を超える株式を取得する場合、あるいは、市場外の買付後に保有比率が3分の1を超える場合などに、適用されます。 経営権取得の意図をもって株式取得を進める投資家の存在を周知し、すべての株主に平等に売りの機会を与えることが目的です。 (本稿は、『株トレ ファンダメンタルズ編』から抜粋・編集したものです。)
窪田真之