センバツ高校野球 学法石川、春の便り 八戸光星、5年ぶり/青森山田、8年ぶり(その1) /福島
26日に開かれた第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)の選考委員会で、学法石川(石川町)の33年ぶり4回目の出場が決まった。このほか、東北からは青森山田が8年ぶり3回目、八戸学院光星(青森)が5年ぶり11回目の出場が決定。青森県勢の2校出場は2016年以来2回目となる。組み合わせ抽選会は3月8日に行われる。大会は18日に阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で開幕し、30日まで13日間(休養日を含む)の熱戦が繰り広げられる。【竹田直人、岩間理紀】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち ◇学法石川 33年ぶり歓喜の雄叫び 学法石川では、選手たちが講堂に集まり、手のひらの汗を制服のズボンでぬぐうなど緊張した面持ちで臨んだ。毎日新聞大阪本社オーバルホール(大阪市)で行われた選考委員会総会の模様がライブ中継され、東北地区の最後に「学法石川」と校名が呼ばれると、「ウオーッ」と叫び、拳を突き上げて喜んだ。「攻守交代時のキビキビした動きも好印象だった」という選考委員の評価には、会場から大きな拍手がわいた。 佐々木順一朗監督(64)は選手たちを前に「うれしいね」と満面の笑み。「選ばれたからには責任が生まれる。支えてくれる方に恩返しを」と引き締めた。小宅(おやけ)善叶(よしと)主将(2年)も「甲子園では伝統校としてスカイブルーのユニホームで大暴れする」と意気盛んだった。 講堂には、保護者やOBら約40人も駆けつけ、朗報を喜んだ。福尾遥真(はるま)(2年)、翔(つばさ)(1年)兄弟の母・友美さん(50)は「夢みたい。つらいこともあったと思うけれど、まずは『おめでとう』と言ってあげたい。悔いなく、力を出し切って」と涙をぬぐった。野球部OBの江尻一也さん(37)は「この日をずっと待ってました。全国レベルでも十分戦える子たちなので、本番が楽しみです」と期待していた。 ◇競い合い夢つかむ 昨秋の県大会3位校として東北大会に進出した学法石川は、初戦は盛岡中央(岩手)を8―5と逆転で降し、2回戦は聖和学園(宮城)に2―1、準々決勝の金足農(秋田)戦は3―1と接戦を制した。準決勝は強打の八戸学院光星(青森)を5安打に抑えたが、0―1で惜敗した。 投打にわたる活躍を見せたのが、1年生捕手の大栄(おおさかえ)利哉。初戦から4番・捕手で先発したが、八回からはマスクを脱いでマウンドへ。この回を打者3人に抑えると、直後の打席で犠飛を放って逆転劇に貢献した。準々決勝では先発のマウンドに登り、130キロ台後半の直球を軸に被安打4、1失点で9イニングを投げ抜いた。 準決勝では同じく1年生投手、佐藤翼が力を見せた。公式戦初先発だったが気負いはなく、内角を厳しく突いて内野ゴロの山を作り、八戸学院光星打線を犠飛の1点のみに抑えた。大栄とは中学時代からバッテリーを組んできた仲で「あいつの方が球速は速いが、体を作って自分がチームのエースになる」とライバル心を燃やす。 佐々木順一朗監督は「大栄は力があるし、翼も東北大会で自信を付けたはず。全国の舞台でも臆せず力を発揮してほしい」と話す。期待の1年生コンビが甲子園で躍動する。 ……………………………………………………………………………………………………… ◇センバツまでの軌跡 <福島県大会> 2回戦 ○12-1 学法福島 3回戦 ○10-6 郡山 準々決勝 ○10-0 会津北嶺 準決勝 ●3-7 聖光学院 3位決定戦 ○4-3 東日大昌平 <東北大会> 1回戦 ○8-5 盛岡中央 2回戦 ○2―1 聖和学園 準々決勝 ○3―1 金足農 準決勝 ●0-1 八戸学院光星 ……………………………………………………………………………………………………… ◇学校プロフィル 1892年に「石川義塾」として創立された、私学では県内最古の男女共学校。「学んでそれを実践してこそ意味がある」という意味の「行学一如」を教育理念に掲げる。1951年に「学校法人石川高」に改称したが、同じ石川町内に県立石川高があるため学法石川と呼ばれる。 野球部は1908年に創部し、甲子園は春3回、夏9回出場。卒業生に遠藤一彦(元大洋)、諸積兼司(元ロッテ、現ロッテコーチ)、川越英隆(元オリックスなど、現ソフトバンクコーチ)ら。 他の部活動も盛んで、陸上競技部は男女ともに全国高校駅伝の常連。サッカー部やハンドボール部、自転車競技部なども強豪で、2022年には女子硬式野球部が新設された。