史上初めて月面で着用されたロレックスがオークションに出品!
NASAの有人月探査ミッションで着用されたロレックスが競売に出されるのは、これが2例目である。 【写真6枚】アポロ14号のミッションで着用されたロレックス「GMTマスター Ref.1675」 オメガの「スピードマスター」だけが“ムーンウォッチ”だと思っていたとしたら、それは間違いだ。1971年、アメリカの宇宙飛行士エドガー・ミッチェルは、アポロ14号計画の一環として月面で9時間を過ごした。月に降り立った飛行士としては6人目だったが、右腕に「GMTマスター Ref.1675」を着けたミッチェルは、月にロレックスを持ち込んだ最初の人物となった。歴史に残る偉業ではないか! ミッチェルの“ペプシ”は、月面で着用された最初のロレックスであるだけでなく、最初の自動巻き時計でもある。そして今、まさにその時計がオークションにかけられようとしている。公に入手できる“ムーンロレックス”としては、これが史上2つ目だ。 ■エドガー・ミッチェルの「GMTマスター Ref.1675」 宇宙服を着れば当然隠れてしまうことから、月着陸船の外で着用されているのがわかる写真はないが、ミッション前、月面歩行直後、そしてミッション終了後に地球に帰還したミッチェルの腕に装着されている「GMTマスター」の画像は多数確認することができる。 今回オークションに出品されたこの時計は標準的な「Ref.1675」で、愛されている赤と青の“ペプシ”両方向回転ベゼル、クロノメーター認定のロレックス自動巻きムーブメント、美しく色褪せたトリチウムのインデックス、スティール製のオイスターブレスレットを備えている。 ローカルタイムとグリニッジ標準時(GMT)の両方を把握するため、50年代初頭にパン・アメリカン航空の乗務員のために開発されたロレックス「GMTマスター」シリーズは、ミッチェルが装着して月面を歩いたときには、最初の発売から20年も経っていなかったはずだ。 裏蓋には「WORN BY CDR. E. MITHCELL ON APOLLO 14, 1971, TO KARLIN-MY DAUGHTER"(1971年、E.ミッチェル中佐がアポロ14号で着用、私の娘カーリンへ)と刻印が施してある。このアイテムがオークションの目玉となることは間違いない。 ■月に降り立った最初のロレックス NASAのミッションに帯同した「GMTマスター」を持っていたのはミッチェルだけではない。ジャック・スワイガートは中断された70年のアポロ13号のミッションで、スチュアート・ルーサはミッチェルとともに71年のアポロ14号で、ロナルド・エヴァンスは翌年のアポロ17号でそれぞれ着用した。 ミッチェルの時計は、2009年にエヴァンスの“ペプシ”がオークションにかけられたのに続き、2つ目の出品となる(この時計は13万1450ドルで落札され、ロレックス自身が購入した。今度はその何倍もの値がつくだろう)。オークションへの登場ではエヴァンスに先を越されたものの、月面に到達したことがあるのはミッチェルの“ペプシ”のほうである。 ミッチェルの時計は現在RRオークションに出品されており、入札価格は本記事の掲載時点でわずか3万5000ドルであるが、これもすぐに跳ね上がることだろう。この時計にはまた、ミッチェルの署名が入った証明書も同封されており、そこには「付属のロレックスの時計は、アポロ14号のミッションで私が着用していたものである」と記されている。 現時点で入札は低水準だが、予想落札価格は40万ドルとなっている。エヴァンスの「GMT」のときのように、ロレックス自身がこの時計に飛びつかなければ驚きだ。この時計で最も印象的なのは、ミッチェルが“オメガ主催の公式イベント”でロレックスを着用した豪胆な人物のひとりであるということだ。私としてはとても考えられないことであり、いつか月面を歩くことのほうがよほど現実的である。 From GQ.COM By Oren Hartov Translated and Adapted by Yuzuru Todayama